Wedge REPORT

2016年11月28日

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ヒロ・マスダ (ひろ・ますだ)

映画プロデューサー

合同会社Ichigo Ichie Films代表。アメリカ、ドイツ、フランスとの様々な国際共同製作の企画に携わり、現在アメリカ児童文学クリス・カーツ著『The Pup Who Cried Wolf』の映画化権を取得し、長編CGアニメ映画『Lobo』を製作中。

 映画製作における真の「イノベーション」とは、秀でたタレント人材や映画テクノロジーによる創作面の効率性の向上や、利益を出すためのプロダクション運営の経済的効率性の向上である。官民癒着で公金を引き出すために使われた「ニッポンのイノベーション」であれば、日本再生の切り札どころか自らの持続的経営の将来見通しすら破たんした今の結果は、始まる前から分かっていた当然の結果だといえる。

 日本政府は日本IPに由来のある、もしくは日本に関係のあるハリウッド映画のプロデューサーや監督に対するクールジャパン表彰をロサンゼルス日本総領事公邸で行っている。13年には日本の玩具をモチーフにした映画「トランスフォーマー」のプロデューサーも受賞した。しかし、14年に公開された「トランスフォーマー」第4作は中国共同製作で製作され、ワールドプレミアイベントをロケ地の香港で行い、中国人俳優が出演し、中国の銀行や電気製品などのプロダクトプレイスメント(映画のなかで企業のロゴや製品を自然なかたちで出す広告手法)も行われた。

 映画におけるクールジャパン効果とは、一般客の普通の感覚で映画を鑑賞したときにどう感じるかという客観性を基準に考えるべきで、この場合、中国共同製作の「トランスフォーマー」を見た一般の観客がこの作品からクールジャパン的印象を強く感じ、それが日本へのインバウンド効果に繋がると考えるのは的外れだと言える。

iStock

 世界の映画産業においてはハリウッドだけでなく、中国の存在感も増してきている。ハリウッド版「ゴジラ」を製作したレジェンダリー・ピクチャーズの親会社は、今や中国企業である。「ゴジラ2」はレジェンダリー・エンターテイメントを買収した大連万達グループが青島にオープンさせる総工費約80億ドル(約8000億円)の世界最先端の施設で撮影されることも決定している。また同社はソニー・ピクチャーズとの提携も発表している。ANEWが発表している海外パートナー企業にも中国からの巨額出資を受けている映画会社が含まれる。

 映画産業自体も変化しており、技術革新によるインターネットの定額配信サービス、ビデオ・オン・デマンドサービスの普及に伴い消費者行動も変化し、かつて映画でしかかけられなかった高額予算をTVドラマにかけられるようになった。これと同時にハリウッド俳優、監督らもTV産業に活躍の場を移している。

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