現在、子どもの医療費を無償化している自治体は増えています。この金額と給食費無償化の金額は同じくらいと考えられます。
給食は子どもの食事におけるセーフティネットになっていると思います。それを親が払う、払わないで左右され、子どもに辛い思いをさせるのは非常に良くない。セーフティネットとして考えていけば、無償化するために、何をするのか、知恵を絞って考えていく必要があります。給食の対象も増やしていければと思いますね。
――給食の対象を増やすとはどういうことでしょうか?
鳫:給食のない夏休みに、昼食を食べられないために体重が減る子どもがいます。こうした事態を防ぐために、埼玉県越谷市では希望者のみですが、夏休み期間中に学童保育で夏休みの給食センターを活用し給食を提供しています。
ただ、なかなか広がらないのが実情で、やはり未納問題が生じるからだという懸念があるのでしょう。同じく中学校で給食が実施されていない地域でも、未納問題が普及のネックになっています。
今後、子どもはさらに減少します。そうなると現在の給食施設の供給可能量は余るので、給食を高校生まで拡充し、それでも余るようならば、地域のひとり暮らしのお年寄りにまで伸ばし、地域の食堂をセーフティネットとして設置する仕組みも良いのではないでしょうか。
北欧には、有料ですが地域の給食センターのような場所があり、障がいのある人達を調理に雇用しています。
――文部科学省は給食費未納問題をどう考えているのでしょうか?
鳫:これまで自治体は悪質な事例については訴訟を起こしていますが、その他について文部科学省は親のモラルの問題であるとしてきました。
未納という経済的な問題が、ネグレクトや保護者のメンタルヘルスの問題のシグナルと捉え、福祉につなげていくべきだという方向性を文部科学省にも持って貰いたいものです。それだけ食というのは子ども生活にとってコアな部分なのです。
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