世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年1月11日

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 米印関係の難しさが良く分かる論評です。インドはトランプ政権に期待しつつも、どうなるか慎重に見極めているということのようです。モディは米大統領選後、早々に11月9日にトランプと電話で会談し、他方でパキスタンのシャリフは11月28日に会談しました。シャリフとの会談でトランプはパキスタンを「素晴らしい国」などと述べたことがインド側を不安にしているようです。トランプは、選挙中パキスタンは我々の友人ではない、核を廃棄させねばならないなどと批判していたので、シャリフとの電話会談でそれを埋め合わせしようと考えたのかもしれません。

 米印関係は、パキスタンのほか、中国、そしてロシアの要素の中で動かざるを得ません。米中関係の影響も受けます。トランプの下で米中が緊張すれば米印関係強化に働くことになるでしょう。米印関係が強化されればパキスタンは中国への接近を強めるでしょう。

インド人の米国移住に規制をかけるトランプ

 トランプがカシミール問題について調停したいと発言したことが国際調停を峻拒するインドを不満にしているようですし、高度技能保有のインド人の米国移住の規制を強化すべきとするトランプの考えもインドでは問題になっています。他方でトランプの反ムスリムのレトリックは、パキスタンを心配させています。

 そう考えると、トランプ政権下の米印関係には潜在的に重要な進展の可能性はありますが、実際にはオバマ政権からの継続路線となり、トランプ政権になったからと言ってドラマチックな展開は考え難いように見えます。トランプ政権下の米パキスタン関係も不確実のようです。粗野なトランプがインド、パキスタンなど南西アジアの地域関係のデリケートさを理解し、それについていけるかどうか、南西アジアがトランプ外交の洗練さを試す地域になるようにも思われます。

  
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