フィネガン:危機という言葉は、今は強すぎる用語法だと思います。しかし、再編プランを実行する能力が日本側に欠落しているということ。そのことは、日本をどう見るか、あるいは日本との同盟関係をどう考えるべきかという点に関し、米国側に大きな、恐らくは根底的なシフト(変化)を生み出すのではないでしょうか。
日本はよくよく考えておくべきだと思います。すなわち、ここには重要なリアリティがあるのであって、そのリアリティとは、米日同盟――とりわけ日本とアジア地域に駐在する米軍が果たしている役割こそが、日本に対する攻撃を防ぐ抑止力になっているということです。
基地をめぐる約束事を日本が実施できないとなると、それは当然両国関係にとってダメージになりますし、双方の国益を損ねることになります。
ローレス:まったくこの点は、強調してもし過ぎるということがありません。
普天間の移設とは、米軍再編全体を動かす鍵ともいえる意味をもっている。その重要な施策について、日本には能力、意思ともにない。
だとすると、米国は太平洋全体における前方基地展開戦略そのものを、いやがおうにも再検討せざるを得なくなります。とりわけ、グアムへの移駐などは考え直さざるを得ない。
この種の再検討が始まるとしますか、そうしたら、日本に展開している米軍全体についても、その規模だとか配置を見直さざるを得なくなるのは必定でしょう。すなわち同盟へのコミットメントを維持するのに必要な能力が、必ずやなんらかの影響を被らざるを得なくなってしまいます。
Translated from "Updating the U.S.-Japan Alliance: An Interview with
Mike Finnegan, Richard Lawless, and Jim Thomas," National Bureau of
Asian Research, April 2, 2010,
http://nbr.org/research/activity.aspx?id=77. Copyright (c) The
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谷口智彦(たにぐち・ともひこ)氏
1957年生まれ。慶應義塾大学大学院SDM研究科特別招聘教授、明治大学国際日本学部客員教授。2005~08年、外務省外務副報道官。先立つ20年『日経ビジネス』記者、編集委員。この間ロンドン外国プレス協会会長、米ブルッキングズ研究所CNAPS招聘給費研究員、上海国際問題研究所客座研究員など。著書に『通貨燃ゆ 円・元・ドル・ユーロの同時代史』(日本経済新聞出版社)ほかがある。
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