長男の晃(安田顕)は、経営能力が劣っていて、子会社の社長を務めている。長女の楓(山本美月)は医師で緊急救命が専門である。
経営コンサルタントを名乗って、浩一は巧みに二科一族に入り込んでいく。長男の晃の会社には、バンコクの病院に医療機器の納入をあっせんするという名目で。楓とは、偶然に自転車にはねられてけがを負って助けられる。
刺されるのも計算のうち
コン・ゲームの面白さは、騙しの策略が一瞬ばれそうになって、つぎの瞬間に切り抜けていく醍醐味(だいごみ)にある。
浩一はハーバード大卒の肩書である。二科一族の次男隆(藤木)は、ハーバード大学の名簿を手に入れて調べる。浩一の名前はあった。
名簿に載っている名前の人物名を浩一が使っていたのである。
隆はあきらめない。浩一の名刺にある、ニューヨークのオフィスに電話をかける。古いビルの小さな一室で鳴り響くベルの音。一瞬、相棒のハルカ(水原)が受話器をとって、流暢な英語で答える。
「危なかったけど、間に合った」と、浩一に報告するハルカに
「いますぐ帰ってこい」と命じる浩一。
「いま着いたばかりなのに」
浩一たちは、医大の准教授の五十嵐を追い詰めていく。少女買春の写真を手に入れ、借金まみれの実態を把握する。証拠を突きつけられた、五十風は精神的に錯乱状態となる。
二科一族に対する大きな仕掛けは、興三(市村)の誕生パーティーがプール付きの広大な屋敷で催されるときを狙った。長男の晃と長女の楓の紹介で、興三に挨拶しようとする浩一。にべもなくはねつける興三。そこに、ナイフを手にした五十嵐がふらふらと歩み寄ってくる。
興三をかばうようにして、浩一は五十風に刺され、プールに仰向けに倒れ込む。救急救命医師の楓があわてて、周囲に浩一を水から引き上げるように命じる。
浩一は命をとりとめる。「これも計算していたのか」と尋ねる見習のカズキ(菊池)に対して「内臓の位置を知っていて、致命傷になるのを避けた」といとも簡単に答える。