世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年2月7日

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 韓国の外交が漂流を始め、米国や日本等にとり大きな懸念材料になりつつあることはその通りです。論説では、具体例として、慰安婦合意を巡る最近の日韓関係の悪化や日米韓対潜水艦作戦合同演習への韓国の不参加が挙げられています。三国対潜合同演習は、北朝鮮の潜水艦能力の向上が懸念され、昨年12月の日米韓次官補級の防衛実務者協議で提案されたものでした。

 最大の問題は、ポスト朴槿恵でも韓国外交の方向が改善する見通しが全くないことです。大統領選挙は弾劾裁判がどうなるかに拘わらず本年12月19日までには行われます。1月16日の次期大統領人気世論調査では、最大野党「共に民主党」の文在寅前代表が26.1%で1位、潘基文前国連事務総長が22.2%で2位、3位は「共に民主党」の李在明城南市長で11.7%、4位は第二野党「国民の党」の安哲秀前代表7.0%でした。

 潘は、THAADの配備は支持するが、慰安婦合意については「合意が少女像の撤去と関係があるなら誤り」と世論迎合の発言を繰り返し、日韓合意を守る気はないようでした。しかし2月1日、その潘が大統領選への不出馬を表明しました。一方、人気調査1位で、廬武鉉左派政権の側近だった文はTHAADの配備延期を主張し、対北朝鮮融和政策、慰安婦合意の再交渉等を主張するなど、政策について問題があります。

 米大統領選中は、対北朝鮮対話に前向きなトランプを称賛する論評を出していた北朝鮮ですが、目下はトランプの出方を見定めているようです。金正恩は一定の合理主義者です。早晩行うと見られるICBMの実験についても種々の計算をしているのでしょう。他方、ICBM発射に対してトランプはすかさず「そのようなことは許さない」とツイッターで述べています。なお、国防長官に指名されているマティスは、12日の議会承認公聴会で、北朝鮮によるICBM開発について「深刻な脅威で、軍事的対応も選択肢の一つ」と述べました。

 韓国の内政は当面憲法裁判所と特別検察官を中心に動いています。そのうち特別検察官チームは大々的に捜査範囲を広げるつもりの様です。同チームは16日、「贈賄」などの容疑で李在鎔サムスン電子副会長の逮捕状を請求しました。これは韓国財界に衝撃を与え、次はSKかロッテかと憶測されています。

 これまで一貫して対日強硬であった尹炳世外相が13日の国会で「外交関係に関するウィーン条約によれば、他国の公館前に問題となる造形物を設置するのは望ましくない」と証言したところ、政界などから「親日派」、「売国行為」だと非難する声が一斉に出始めました。韓国の状況は全く変わっていません。流石にこれには朝鮮日報が「日本との外交関係における根本問題は、何よりもまずわれわれの国力が日本に及ばないことにある。日本を追い越すには国民の誰もが骨を削るような努力をしなければならないが、デモに参加して感情を表に出すだけでは何も変わらない。政治家も同じだ」と批判しています。

  
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