セリフをつないでいるのは、真紀(松)がすずめ(満島)をじっと見つめる視線であり、すずめが独り言のように自身を語る、その背中である。
人とひととが、わかり合おうとするとき、言葉だけではなく、表情やちょっとしたしぐさがきっかけとなる。
ドラマのセリフの美しさはそうした、言葉以外の演技がからまって昇華(しょうか・高度な状態に飛躍すること)している。
カルテットの4人のメンバーがそれぞれ秘密を抱えて、ドラマは正統なミステリーとして観客に迫ってくる。
ミステリー・ドラマの定石で、1話ごとにゲストが登場する。第1話では、余命3カ月のピアニストとして、「カルテットドーナツホール」が常打ちになる以前にライブをしていた、ピアニストにイッセー尾形。第3話で、すずめの父親役には小説家・文芸評論家の高橋源一郎が。
レギュラー陣では、ライブ・レストランの「ノクターン」の経営者・谷村大二郎役にサンドウィッチマンの富澤たけしが起用されている。富澤のとぼけた味わいは役者としての可能性を示している。
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