2024年4月26日(金)

したたか者の流儀

2017年2月24日

司馬遼太郎もいた戦車隊

 年に二回、来“白”するのでいろいろな話を聞いた。専務は元戦車兵で戦車を公道で操縦中にそば屋を半壊させたという武勇伝も聞いた。司馬遼太郎氏も自分の戦車で、韓国釜山市内で破損事故を起こしたと読んだ記憶があるが、戦車で公道を曲がるのは難しいのだろう。

 ともかく、電子部品を作るのに、この会社は“ベルギーの親戚”コンゴからコバルトを少しでも買っていることを知ってうれしくなってしまった。売り上げ数千億円の企業がコバルトを5000万円買うのもレアメタルの所以だろう。

 と感心していると、留学時代向かいの学生寮に住んでいたコンゴ人を思い出した。学部が違うこともありほとんど会話がなかったが、キャンパス内のシネコンに毎日来ているのが彼であると気がついた。失礼ながら夜道で黒い人は判別できない。あるときシネコンからの帰り道、話しかけてみた。映画演劇を研究としているようであった。さらに驚いたことに彼の専門は日本の歌舞伎だそうだ。

 なぜまた歌舞伎をと聞くと、一番安全だからだという答えが返ってきた。当時ザイールは独裁者モブツが大統領なので経済学などを勉強していると危険人物と思われたのだそうだ。その場合、ワニのいる川に投げ込まれて全く消されてしまうとのこと。エボラ出血熱の本場でもあるが、現在どのような日常なのか興味が湧く。

 そんな折、本邦大手商社がアフリカに強いフランスの商社買収を発表した。この仏社は、アフリカ33カ国で展開し自動車販売を中心に、医薬品卸事業、清涼飲料やビールの生産販売などのビジネスを展開している。なかでも日本勢が不得手な中・西アフリカ全域にわたるビジネスネットワークをもっている。本邦商社も細々ながらアフリカ南北と東にはプレゼンスが元々あったので、これでアフリカ全域密着カバーとなった。最後のフロンティアであるアフリカに本邦企業が橋頭堡を築いたことはうれしい限りだ。

 ところで学生の就職談義を聞いた。「フランス語が出来るって言わないほうがいいぞ。アフリカに行くことになるぞ」

 やはり日本の成長は、元陸軍戦車隊員あたりが頑張ったお陰のような気がしてきた。もう彼らには頼めない。なんせ最年少で90歳だ。

  
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