2024年11月22日(金)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2017年2月17日

雇用創出のお客様

 第2に、トランプ大統領にとって日本は雇用創出のための同盟国であるという位置づけだからです。率直に言ってしまえば、安倍首相は雇用を創出してくれる大口のお客様なのです。

 では、どのようにして日本を活用して雇用を拡大するのでしょうか。トランプ大統領の狙いは、日米安全保障条約第5条の尖閣諸島適応を取引材料にして、熱烈なトランプ支持の白人労働者がいる中西部に工場を新設することにあります(図表2)。それに加えて、日本企業のメキシコにある生産拠点の撤退と中西部への移転です。同大統領は、安全保障と経済をセットにして取引を行うので、結局、尖閣諸島を守るために、日本の自動車メーカーや部品メーカーにしわ寄せがくるわけです。

 今回の日米首脳会談では在日米軍駐留経費の増額にトランプ大統領は言及しなかったと言われています。なぜでしょうか。トランプ大統領は、駐留経費の件で日本に譲歩したと言いたいのです。尖閣諸島と同様に、駐留経費も取引材料にして交渉してくる可能性があります。

 日米首脳会談後に行った米加首脳会談における共同記者会見でトランプ大統領は、フォードの国内投資及びGMの工場新設を賞賛しました。同大統領は、日本側が経費負担のみならず経済においてもフォード及びGMに習って「お手本」になるように迫ってくる可能性は否定できません。

 フロリダ州のゴルフ場ですでに上で指摘した取引があったのか、今後情報がリークされていくでしょう。仮になかったとしても、トランプ大統領は尖閣及び駐留経費を交渉における取引材料にして、経済問題を有利に進めて行くことは確かです。


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