2022年12月2日(金)

この熱き人々

2017年3月28日

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吉永みち子 (よしながみちこ)

1950年、埼玉県生まれ。85年、『気がつけば騎手の女房』で大宅壮一ノンフィクション大賞を受賞。著書に『母と娘の40年戦争』(集英社文庫)、『怖いもの知らずの女たち』(山と溪谷社)、『試練は女のダイヤモンド』(ウェッジ)などがある。

 もう突っ張って自分を守る必要がなくなったのだろう。そして「印象派NÉO」では、「私の赤ずきんちゃん」「灰かぶりのシンデレラ」とすでに2作品を発表し、今春からは3作目の「不思議の国の白雪姫」を携えて東京、京都、パリでの公演が決まっている。

最新作「不思議の国の白雪姫」

 「『印象派』の8回は、自分の思いだけで続けてきたけれど、演劇というカテゴリーで世に問うと、どうしてもストーリーが求められる。私だけの戦いの舞台です、なんて言っても通じない。作品としてはコンテンポラリーダンスの範疇に入れればすっきりするんだけど、私はダンサーではない。演劇と舞踏と音楽の融合ですから演劇の要素は必要。それなら世界中の人が知っている物語をテーマにしようと、童話をベースにしています」

 今回は「不思議の国のアリス」と「白雪姫」の合体である。永遠に続く時間と突然止まる時間というように、対照的なものを表現する舞台にしていきたいと言う。

 ライフワークとも言える舞台を創り上げながら、俳優として映画やテレビドラマに出演し、歌も50代から、「ジビエ・ドゥ・マリー」というブルースロックバンドで、本当に自分の歌いたかった世界を実現させている。2年前からは、バンドとは別に夏木マリとしてライブハウスの全国ツアーも展開している。

 無意識で出会ってきたことを、意識的に出会い直してみせるという勢いが感じられ、活動の場はますます広がっているようである。ただひとつ、蜷川幸雄演出の音楽劇「ガラスの仮面」以来、遠ざかったままの舞台俳優としての夏木マリが気にかかる。

 「この頃、人の舞台を観に行くと、やりたいなと思うようになってきているんです」

 おそらく、これも実現するのではないだろうか。

 ところで、今の夏木マリは果たして何者?  という謎が甦ってくる。

 「プレイヤーと言われるのが一番うれしいかな。子供が遊ぶように、本気で仕事をしたいんです」

 自在に自由に自分を発揮できる境地にたどり着いたということかと尋ねたら、「まだまだ全然たどり着いていないけど、1ミリずつでも向かっていきたい」と答えが返ってきた。

◎「不思議の国の白雪姫」公演日程  4/2日:ロームシアター京都サウスホール
4/25日:ルーヴル美術館オーディトリアム 

なつき まり/東京都生まれ。1971年、本名の中島淳子で歌手デビュー。72年、夏木マリとして発表した「絹の靴下」が大ヒットする。俳優としても数々の舞台で活躍し、93年からは身体表現と音楽を融合させた舞台「印象派」を国内外で上演、ジャンルを超えた表現の可能性を追求し続けている。 

HIRO KIMURA(W)=写真
亘つぐみ=衣装
TAKU(CUTTERS)=ヘアスタイリング

 

  
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◆「ひととき」2017年3月号より

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