トランプが「一つの中国」政策を尊重する姿勢に転じたことにつき、ウォール・ストリート・ジャーナル紙の2月16日付社説が、「一つの中国」の枠組みの中で米台関係を深める方策について論じています。要旨、次の通り。
トランプが「一つの中国」政策を尊重することを表明し、米中間の陥穽の一つが回避されたが、昨年12月の蔡英文との電話会談を踏まえ米台関係をどう構築するかとの問題は依然として残る。民主的・戦略的パートナーたる台湾との関係を深める手段はいくつかある。
台湾関係法は、米国が台湾の自衛に武器売却を含むコミットをすることを義務付けている。トランプ政権はオバマ政権による約10億ドルの武器供給計画を引き継いだが、近年の腰の引けた姿勢を反映し、その内容は主に軍需品であり新型ジェット戦闘機や無人車両などの新しいシステムは含まれない。
新政権は、台湾側の必要(例えば米国の潜水艦建造技術)について話し合う年次会合を復活させることにより、武器供給を安定化し得る。
昨年の国防総省の予算法は、米軍将官の数十年ぶりとなる台湾訪問を求めている。ハリス太平洋軍司令官が訪台すれば理想的である。同予算法は、脅威分析、戦力計画、諜報、合同訓練における協力強化も求めている。
外交的やり取りには実際的および象徴的価値がある。米閣僚の台湾訪問、台湾の閣僚のワシントンの当局者への確実なアクセスを可能にすべきである。米外交官は、中国が台湾代表を追い出したがっている国際会合(世界保健機関や国際民間航空機関)で台湾をもっと助けるべきである。
貿易は極めて重要である。対中輸出への依存は、台湾の経済的・政治的自主性を脅かしている。台湾は米国との二国間貿易協定を結ぶべきである。米国は、日豪などに台湾との同様の協定を促し得る。太平洋における民主的協力の大いなる進展となろう。
米国は台湾の不安定なエネルギー供給も支援し得る。台湾は2025年までに原発を廃止しエネルギーの18%を再生可能エネルギーで置き換えるとの誤った判断をした。米国産の安価で豊富な天然ガスの輸入は、中国が台湾への石炭の禁輸をした場合の危険を減らすことにもなり、理に適っている。
これらの措置は全て「一つの中国」政策と整合的である。多くの人が、「一つの中国」政策を尊重するとのトランプの発言を、習近平との電話会談のための譲歩と見ている。そうでないことを示す方法は、台湾との長年の友好関係を組織的に深めることである。
出典:‘A Trump Agenda for Taiwan’(Wall Street Journal, February 16, 2017)
https://www.wsj.com/articles/a-trump-agenda-for-taiwan-1487291355