オトナの教養 週末の一冊

2017年3月31日

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中村宏之 (なかむら・ひろゆき)

ジャーナリスト

1967年生まれ。91年、慶應義塾大学経済学部卒、読売新聞東京本社入社。ロンドン特派員、米ハーバード大学国際問題研究所研究員、経済部デスク、調査研究本部主任研究員などを経て2017年4月より読売新聞東京本社メディア局編集部次長。『御社の寿命』、『世界を切り拓くビジネス・ローヤー』、(いずれも中央公論新社)など

――本を書く場合ですと各章ごとに〆切りを作るといったイメージでしょうか。

上阪徹(うえさか・とおる)氏
1966年生まれ。アパレルメーカーのワールド、リクルートグループを経て94年、フリーランスとして独立。雑誌、書籍などで幅広く執筆活動を展開している。 近著に、『「聞き方」を変えればあなたの仕事はうまくいく』(文響社)、『ビジネスマンのための新しい童話の読みかた』(飛鳥新社)など

上阪:章ごともありますが、主にプロセスごとです。本を書くには事前の作業が必要です。取材をするところから始まり、資料やインタビューなどのスクリプトを読み込む、構成を決めるなどの事前プロセスがあります。それを分解して〆切りにしていきます。執筆も一度には書けませんので5回ぐらいに分けて、「今日は1章まで」とか「3章の半分まで」と自分で〆切りを決めて取り組みます。本の場合は8とか10の〆切りに分解しています。

――いきなり完成を目指すのではなく、小さく分割して進めるということですね。

上阪:ボリュームの少ない原稿でも、私は原稿の〆切りの日に書くことは基本的にしません。冷静な目で読み直すために、書いた原稿を「冷ます」ことが必要だと思っていて、そのためには数日前に仕上げておくことが重要です。これもプロセスに組み入れています。はじめにざっと書いて、後で細かい部分を調整してゆくのが効率もいいし、クオリティも高まると思います。ぎりぎりになると〆切りのストレスも出てきますし、じっくり推敲もできません。早く着手して早く書くのがいいと思っています。

――本書を読み進めると、〆切りというテーマとともに、仕事のプロセスや進捗を把握することの大切さを問いた本であることもわかります。

上阪:やり方や考え方次第で、もっとラクにできる方法があるということです。〆切りがあるのになかなか腰が上がらないという人も多いかもしれませんが、それは準備がしっかり出来ていないからではないかと思います。書こうと思っても材料がなければ書けません。逆に、材料がしっかりあれば、速く書くことができます。私は書くのが速いと言われますが、自分がどうして速く書くことができていたのか、最近になってようやく言語化できました。ポイントは材料にありました。

――上阪さんはご自身のお仕事を通じて、かつて「ゴーストライター」と呼ばれていた書く仕事を「ブックライター」として新たに位置づけられました。今はどれぐらいのペースで執筆活動をされているのですか。

上阪:書くのは一カ月に一冊だけと決めています。事前に取材は進めますが、基本的に毎月、月初に書き始めて一カ月で仕上げるというサイクルです。

――本書で読者に強く伝えたかったことはどんなことでしょうか。

上阪:本書では、〆切りに追われるよりも追いかける方がずっとラクですよということを多くの人に知ってもらいたいと思いました。さらにいえば、〆切りを守るとか、守れないといったレベルにとどまっているのではなく、本当はもっと大事な次のステージがあり、早くそこに行きましょう、ということをメッセージとして込めました。

  
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