2024年7月16日(火)

前向きに読み解く経済の裏側

2017年4月17日

バブルが関係する場合もある

 バブルになると、資産価格が上昇して利益を得る人が出ますので、彼等の消費が活発になります。加えて、バブルの時には「我が国の将来はバラ色だ」といった楽観ムードが広がりますから、人々のサイフの紐も緩みますし、企業の設備投資も活発化します。

 バブルが崩壊すると、一転して景気が悪化します。人々は既に高級な自動車等を持っていますから、新しく自動車等を買う人はいません。悪くすると、銀行が不良債権を抱えて自己資本が減少し、自己資本比率規制によって「貸し渋り」をするかもしれません。

 バブルが景気を動かす事は稀だと考えている人もいるでしょうが、過去30年の間に日本の平成バブル、米国のITバブル、米国の住宅バブル(リーマン・ショックの源)があり、それが崩壊していますから、決して例外的な事では無いのです。

景気の予想は、今の方向を見て、財政金融政策と海外景気を予想する

 以上の事から、景気の予想の基本は、今の景気の方向を正しく認識し、財政金融政策や海外景気がその方向を変える可能性があるか否かを考える、ということになります。

 通常は、景気の方向を見定めるのは難しく有りませんが、アベノミクス以降は景気が横這いか少し上向き、といった所なので、景気の方向の見極めにも工夫が必要です。

 財政金融政策については、当分は景気刺激策が採られるでしょうから、上を向いている景気の方向を下向かせる事は無いでしょう。もっとも、金融政策で景気回復を加速させることは難しいでしょうし、公共投資も建設労働者不足だと効果が出にくいので、過大な期待は禁物でしょう。

 そうなると、海外経済を予測している人々に、聞いて回るのが景気の予想屋の重要な仕事だという事になります。特に重要なのは、上述のように、米国の景気です。

 あとは、今回のように、トランプ氏が米国の大統領になったり、ルペン氏がフランスの大統領選挙で勝つ可能性が出てきたりした時に、国際政治が混乱して日本経済に影響が出ないか否かを考える、ということでしょう。

 最も困難なのは、バブル時です。バブルであるか否かは、その時はわからないものです(拙稿「東京のマンション価格高騰はバブルなのか?」御参照)。しかも、仮にバブルだと思っても、それがいつ崩壊するのかを予想することは、不可能だからです。

 景気の予想屋は、おのおの自分なりの手法で予想しますので、皆が上記の方法を採っているわけではありませんが、上記を基本として、各人が様々なバリエーションを試みている、と考えて良いでしょう。

  
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