Ash Forkは1940年代まではルート66の要項としてモーテル、食堂などが並んでいたが高速道路の開通により1950年代以降ルート66は廃道と化したという。確かにルート66旧道はこのあたりでは廃道区間が多く迂回路を走ることになった。
この地域では歴史的に特産品としてFlagstoneというスレートのような平らな石材が産出されていたが1960年代の建築ラッシュの時代には一時的に脚光を浴びたが建築ブームが去ってから石材業者も廃業。それ以来、村は寂れる一方との説明。現在地元の高校、Ash Fork High Schoolは生徒数が14人だけという。
保安官に逮捕されると留置場
オバサンから村の栄枯盛衰物語を聞いて展示物を見て廻った。まず目に入ったのは鉄製の粗末な独房。18世紀末から開拓が始まり20世紀初頭には保安官(sheriff)が任命されて悪漢がぶち込まれたという牢屋だ。説明では数か月に一回くらい巡回判事が来て“縛り首”(death by hanging)と宣告されると吊るされていたようだ。
ちなみにルート66を走っているとパトカーには“police”ではなく“sheriff”と書かれていることが多く、警察署ではなく”sheriff office”とあり西部劇でお馴染みの保安官制度が存続している。
次のコーナーでは馬車など西部開拓時代の実用品が並んでいる。そして定番の南北戦争で使用された銃や軍服。それから第一次世界大戦、第二次世界大戦の軍服や写真が並ぶ。
さらに1930年代の列車の時刻表、機関車の部品、駅舎の写真など鉄道関係。最後に戦後まだ人口が多かったころの地元高校のフットボールチームや野球チームのトロフィーが飾ってあり往事を偲ばせる。現在ではその高校が廃校になろうとしている。人口減少とはコミュニティの消滅なのだ。
⇒第9回に続く
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