慈善事業は米国の古き良き伝統
4月9日(土)。セントルイスから郊外に出て更に西進。昼を過ぎて適当な食堂がないか見ながら走っていると小さな教会の庭で慈善団体がバーベキューをしていた。焼きたてのステーキを安く食べられそうだと車を止めた。
たっぷり甘いソースが絡んだポークステーキがフレンチフライ、野菜サラダ付きで8ドルなり。4月6日にシカゴに到着してから初めてアメリカらしい肉の塊を食べられるとノブさんは感激。それまで動物性たんぱく質はツナ缶、ホットドッグ、缶入りソーセージというようなエコノミークラスのラインナップでしのいできたのである。
がっつりランチで胃袋が満足したら周囲をじっくりと眺める心の余裕が出てきた。慈善事業らしく人の好さそうな爺さんやオッサン・オバサンが肉を焼いたりサラダを作ったり片付けをしたり子供と遊んだりと土曜日の昼下がりをまったりと過ごしている。
こうした善良な市民が穏やかに休日を過ごすというのが古き良きアメリカの伝統なのであろう。常にSlow Driveを心掛けなければルート66旧道に残っている“古き良きアメリカ”を見過ごすことになると想いを新たにした。
幸せそうな子連れママさん、ワッフルを食べれば
4月10日(日)。ミズーリ州のRollaというなんの変哲もない田舎町のモーテル。一泊55ドルとエコノミーな宿代だが食堂にゆくと朝飯が意外と充実しているではないか。トースト&コーヒーの他にクロワッサンもある。さらにワッフル焼き器を使って自分でホット・ワッフルを作って食べられる。さらにまたミルク、オレンジジュース、バナナ、りんごが置いてある。先客がいないのを幸いとばかりに持っていたポーチにバナナ、りんごとクロワッサンを詰め込む。
ワッフルを焼いてメイプルシロップをたっぷりかけて食すと極上の朝食タイムだ。そこに一歳半くらいの男の子を連れたママさんが入ってきた。男の子には東洋人が珍しいのか我々を見てさかんに愛嬌を振りまく。ママさんに聞くとオクラホマの親類の家に行く途上という。後から二人の子供を連れたカップルが入って来てママさんの隣のテーブルに座った。ママさんのお兄さん一家だという。子供たちがはしゃぎまわる。
日曜日の朝、幸せそうなふつうの人たちと一緒に朝食を食べた。ただそれだけのことであるが、ワッフルを食べると思い出す懐かしい光景だ。