2024年12月23日(月)

ネット炎上のかけらを拾いに

2017年7月4日

  市川海老蔵さんのディズニー行きが炎上したのか。ディズニー行きを「非難した人」が炎上したのか。そもそも非難した人はどれほどいたのか。

愛する人を亡くした後、ブログを更新する意味は?

(iStock.com/fad1986/palvec/amanaimagesRF/C f O'kane)

 最愛の妻、小林麻央さんを亡くした市川海老蔵さん。その後も子どもたちの様子や、妻への愛、舞台に挑む姿をブログに更新し続けている。先日帰宅ラッシュの電車内で、前に立っていた女性がスマホで海老蔵さんのブログを開いていた。夫婦2人合わせてのブログ読者数が350万人以上とも言われるそのブログの更新を待っている人は確かに多いのだろう。

 有名人のブログには、「マナー警察」「礼儀ポリス」と言ってもいいようなコメントが寄せられることが多い。「マナー」と言えば聞こえがいいが、実際は勝手な“常識”の押し付けである。ママタレントたちの弁当写真にいちいちツッコミを入れる人たちが良い例だ。

 麻央さんの訃報後、あのヤフコメでさえ海老蔵さん一家に同情的だった。幼い子を残して母が逝くというこれ以上ない悲劇の前に、ネットにつきものの皮肉や中傷は鳴りを潜めた。しかしその一方で、「マナー警察」は存在したようだ。

 6月末に更新したインスタグラムで、海老蔵さんは「更新しすぎという意見もあるとか。確かにその通りです」「ごめんなさい。御理解してくださいとは言いません。居ても立っても居られないとき、私の一つの支えになっています」と綴っている。変わらずにブログの更新を続けていることに疑問の声があったことを伺わせる。

 有名人がブログを書くことは、一種のパフォーマンスと思われがちな面がある。また、一般人であったとしても、遊びや趣味のひとつと見なされがちなブログを書くことは、家族の不幸の直後で「不謹慎」と見なされがちなのかもしれない。

 しかしそれはやはり、“常識”の押し付けというものだろう。人が支えとするものに、誰がケチをつけられるというのか。ブログの更新を支えとするのは、若い世代に限った話でもない。2009年、結婚したばかりだった長女を肺がんで亡くしたタレントのキャシー中島さんは、直後に3日間ブログを休むことを告げたが、翌日には更新を行った。海老蔵さん同様にブログを「心の支え」と綴り、「あまりにも心が空洞でなにでそこを埋めていいかわかりません」と書いた。

 家族を亡くした後に、ブログを更新し続けるのはなぜか。ブログ読者との交流に癒されることも理由だろうが、愛する人を亡くした人にとって、思いを吐き出す行為は、それ自体が大きな意味を持つのだろう。悲しいと書き、故人の思い出を綴ること。それは亡き人、そして自分と対話する時間なのだろう。


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