「主食になる物」を少しだけお腹に入れる
どうしても残業を避けることができないのであれば、ふだん夕食をとる時間くらいに「軽く何かを食べる」ことをお勧めする。「軽く」というところがポイントになるので、近くのコンビニで購入できる物か、買い置きできる物に限られる。もちろん調理の必要な物は不可(せいぜい電子レンジでチンくらい)。
内容的に重要なことは(栄養成分でいうと)糖質を含んでいること。糖質というのは「食物繊維以外の炭水化物」のこと。けっして「甘い物」という意味ではないので注意! 食べ物でいうと「主食」になる物。つまりはご飯・パン・麺類のこと、いも類にも糖質は多い。
今「食物繊維以外の炭水化物」と書いたが、食物繊維が悪い栄養成分であるという意味では、もちろん、ない。むしろ食物繊維は、日本人にとって不足している栄養成分なので、普段の食事では積極的に摂取したい栄養成分である。ただし、残業時の「軽く食べる何か」というときの栄養成分としては必須条件にはならない(と私は考える)。ポイントは「血糖値を上げる」ことができる食べ物。
具体的にはおにぎり。小さめの物を1つ、よく噛んでゆっくり食べる。具はどんな物でも(好きな物で)よし。こんなところ(おにぎりの具)で栄養バランスを考慮しなくてもいい。次にお勧めするのはサンドイッチ。これも、同じ理由で、間に挟んである具材は何でもいい。肝心なことは糖質(の中のデンプン)を少しだけお腹に入れること。
残業が毎日続き、おにぎりとサンドイッチだけでは飽きてしまうようなら(コチラは労働環境のほうが食事内容よりも大きな問題だが)小さなカップ麺でも可としよう(ただし「小さな物」に限るし、汁を残すこと!)。
「バナナを常備しておく」という奥の手
私の「イチオシ」はバナナ。バナナは、速やかに血糖値を上げる単糖類(果糖など)を少量含み、やや時間をおいて血糖値を上げる二糖類(砂糖など)を適量含み、そのあとにじっくりと血糖値を上げる多糖類(デンプンなど)をしっかり含んでいる【※】。脳や身体への「簡便なエネルギー補給源」としてきわめて優れた食品である。テニスプレイヤーなどがゲーム中にバナナを食べているのには、きちんとした理由がある。
比較的保存も利く。嫌いでなければ、机の引き出しやロッカーに常備しておいてはどうだろう。これは私の「奥の手」であり、サラリーマン時代(『栄養と料理』編集者)に実践していた。
さて、残業時に「主食になる食べ物を少しだけ補充」した場合に注意しなくてはならないことがある。それは、その日の「本来の夕食」のとき、「残業時に少量の補充をしたこと(と補充をした物)」を忘れてはならないことだ。往々にして、それを忘れて、普通の量と内容の夕食を食べてしまうことが多い。もちろん、それでは「食べすぎ」になるし、糖質のとりすぎという「偏り」も生ずる。
主食の役割をする物(ご飯・パン・麺類)を食べてあるのだから、夕食時にはその分だけそれを減らすこと。おにぎり1つはだいたいご飯1杯分と換算する。バナナ1本はだいたいご飯半杯分と考えよう。
【※】https://fromhimuka.com/chemistry/541.html
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