なぜホテルに19丁もの銃が持ち込めたのか
3月にラスベガスでの開催が予定されているのは、全米自動車ディーラー協会(NADA)の年次総会だ。NADA会長、ピーター・ウェルシュ氏は「セキュリティに対する予算を見直し、あらゆるオプションを想定する」と語る。
問題なのは今回の事件で露呈した「ネバダ州(ラスベガスを擁する)にはセミオートマチック武器についての規制が存在しない」という点だ。AK47のようなライフル銃も普通に購入できるし、一度に数丁以上の銃を購入しない限り銃砲店に政府への報告義務はない。今回の犯人もラスベガス周辺の複数の銃器店で数度にわたって銃を購入していたことが明らかになっている。
また、「なぜホテルに19丁もの銃が持ち込めたのか」という疑問についても、犯人は複数回に分けてスーツケースとして搬入していたが、ホテルではチェックイン客の荷物検査は行なっていない。
しかしCESやNADAのような大規模のコンベンションを開ける場所は限られている。NADAはサンフランシスコ、ニューオリンズとラスベガスで交互に年次大会を開催しているが、ラスベガスが一番人気が高い、という。すでにブースは予約が売り切れ状態であり、今更場所を移動することも難しい。
NADAでは「元々9・11のテロ事件の後、セキュリティは非常に強化された。今回の事件はテロというよりは単独犯であり、例外的なものと見なしている」と語るが、「もし模倣犯が現れ似たような事件が再びラスベガスで起きた場合、参加者数は減少するかもしれない」との危惧ものぞかせた。
とりあえず最も期日が迫っているのは来年1月のCESだ。屋内の展示や記者会見はある程度セキュリティを強化できても、屋外ブースやイベントなどを完全に管理するのは不可能だ。今回のような突発的な事件が発生しないことを、コンベンションの開催者、そして参加予定者は心から願っている。
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。