2024年11月22日(金)

ビジネスパーソンのための「無理なく実践!食育講座」

2017年12月1日

 さて、前項目の2の人の中には「昔よりは少しお酒に強くなった」という人がいるだろう。お酒は「強くなる」のだろうか? 答えはYES、ただし「ほんの少し」だけ。

 肝臓ではアルコールを分解すると書いたが、分解酵素には少なくとも2つあることがわかっている。メインの酵素(ALDH2という)とサブの酵素(MOES)だ。メインの酵素は作用が強くなったり増えたりすることはないらしいのだが、サブの酵素のほうは飲酒習慣によってその働きが活発になるらしいことがわかった。

 ただし、お酒には多少は強くはなっても、2の人はアセトアルデヒドに長時間さらされることには変わりがないので、「強くなる」ために訓練する必要はないと思うのだが・・・・。

ウコンやシジミは悪酔い防止になるのだろうか

 人が酒を飲む理由をあげろといわれれば、10くらいはらくに出てくる、しかし、こと「健康との関係」でいえば酒は飲まないにこしたことはない。だからといってみんながみんなすぐに禁酒できるわけではないことも承知している。“呑む前に飲む”と宣伝している、あるいは“お酒を呑んだ翌朝に”と宣伝している健康食品類は効くのだろうか?

 よく知られているのはウコン(効くといわれている成分はクルクミン)とシジミ(効くといわれている成分はオルニチン)だろうか。現在の日本では「ある食品(成分)に効果があるかどうか」を確認する、最もたしかで簡単な方法は、国立健康・栄養研究所の『健康食品の安全性・有効性情報』というサイトを見ることだ【※3】

 これを見ると、ウコン(クルクミン)には、“飲酒前に服用することによって悪酔いをしない”などの効果は期待できないことがわかる。「効かないという証拠」は立証できないが、「効くという信頼できるデータ」はない。そもそも、よく見かけるウコン系のドリンクのほとんどは「炭酸飲料」である。効き目を期待するほうが間違っている。

 “二日酔いに効果がある”と謳ってあるシジミ(オルニチン)にも、同様に「効くという信頼できるデータ」はない。“シジミ何十個分”であっても、それは同じ。呑みすぎた翌朝、何も口にせずに出かけるよりも、たとえシジミの味噌汁1杯であっても何か口にして出かけるほうがいいだろう、という程度の健康上の効果はあるかもしれないが・・・・。

 いずれにしても、“ウコン飲料を飲んでるから”あるいは“シジミサプリを用意してあるから”という理由で、普段よりも多量に酒を飲むのであれば、そちらのほうがよほど害があろう。それであれば、何も準備をしないで、飲酒量も控えるというほうが健康にははるかに貢献する。

【※3】 https://hfnet.nih.go.jp

  
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