前回は人工知能を用いたスマートスピーカーがもたらす意味について論じた(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/10976)。音声に人格=人間性を感じ、スピーカーが家族の一員になれるか否かを論じたが、今回はもう少し先の未来、人工知能を用いたロボットが起こした事故に、どのような法的責任を与えるべきかという論点について考えてみたい。
距離が縮まる人間とコンピュータ
2017年11月にアマゾンのスマートスピーカー「アマゾンエコー」が発売されたことで、日本においても主要メーカーが揃ったスマートスピーカー市場。だがスマートスピーカーの本質はビジネスにとどまらず、コンピュータと人間の関係の変容を促すものである。
前回論じたように、スマートスピーカーはユーザーの指示を実行するだけでなく、おすすめを教えてくれたり、子供とじゃんけん等をすることで友達の役目を果たしている(実際にスピーカーに名前をつける子供も少なくない)。そこでは音声を用いることで、無機質な「コンピュータ」から、人間味のある存在へと、少しずつコンピュータが我々に寄り添いはじめている。
そんな中、1999年〜2006年まで生産されたソニーの犬型ロボット「アイボ」が、来年1月11日に新型を発売することが発表された。価格は本体の19万8000円の他、クラウド接続やバックアップサービスのプランに加入せねばならず(3年間一括払いで9万円)高額だ。とはいえ基本的なスペックはもちろんのこと、スマホとの連携機能など、旧型アイボに比べてできることは大幅に増えている。また注目すべき点として、クラウドにデータを送信することで他のユーザーの所有するアイボが得た経験も得られるなど、ビッグデータを活かす構造になっている。そのため、ユーザーが増えれば増えるほどアイボは賢く、そして人間とフレンドリーな関係を築くことが可能となる。
こうして、コンピュータはより人間にとってフレンドリーな存在へと変化する一方、人型ロボットなど、今後さらにその存在感を増すであろう疑似人間的な存在と我々は、どのような関係を築いていけば良いのだろうか。