チャイナ・ウォッチャーの視点

2018年2月6日

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山口亮子 (やまぐち・りょうこ)

ジャーナリスト

2010年京都大学文学部卒業、2013年北京大学歴史学系大学院修了、時事通信社を経て16年よりフリージャーナリストとして活動。

法務、教育にもAI活用の波

 AIがビジネスの中心にある真機智能のような会社でなくとも、中国のスタートアップは多かれ少なかれAIを導入していたり、今後導入予定だったりする。2月号でも紹介したオンラインで廉価な法務サービスを提供する人人法は、AIの本格導入を視野に準備を進めている。創業者の黄穎は「我々は社内に弁護士7人を抱えているが、今後顧客が多くなってもこれまでのようには従業員の弁護士の数を増やすつもりはない。回答の自動生成のように、技術で解決できる部分は技術で解決する」と強調する。

人人法の協議書や契約書を自動作成するサービス。右側の説明に沿って記入していけば書類が完成する

 オンラインの契約書作成サービスをより簡単に、個別のケースにフィットできるものにするのに加え、データをもとにAIを導入して人の関与を減らす。たとえば投資家に依頼されて弁護士が行う投資先の経済状況調査の6~8割は自動作成が可能だという。同社の最高技術責任者(CTO)は北京大学のコンピューター学部を卒業しており、技術開発を担っている。

 「顧客からAIを使ったサービスの需要はそこまで強くないので、今は自分たちで将来の導入に向けて準備をしている段階だ」(黄)

 B2Bの英会話授業のパッケージ販売を手掛ける清成教育も、AIの導入に向けて動いている。地域によって教科書も生徒の水準も異なる中国では、ビジネスを全国に拡大しようとすると授業案を作り直す作業がとんでもない量になってしまう。いちいち作り直していては効率が悪いため、将来的には個別化した授業案を自動作成できるようにしたいと考えている。

 「授業の進度が思ったより遅いので、このまま授業をしていては期間内に終わらないから、授業案を縮めるといったことも自動でできたらいい」

 創業者の三澤公希は、AIを使って授業案の作成や修正を自動化したいと、授業に関するデータを集めていると説明する。教育の仕方がどの程度生徒に合っているのか、どのペースだと理解ができているのか、こういう質問が出るときの理解度はどの程度かといったことを定量的に把握することを目指す。AIを扱える技術者の多い中国だからこそ、教育の分野ですらAIを取り入れるということが抵抗なく行われている。

  
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