前向きに読み解く経済の裏側

2018年2月5日

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引き締めが早すぎるリスクより遅すぎるリスクが心配

 予防的な金融引き締めは、景気の腰を折る事ではなく、景気が過熱しないようにスピード調整をするものです。注意深く経済全体の様子を見ながら少しずつ金利を引き上げていくわけですから、これが多少早過ぎても、景気が腰折れする可能性は大きくないでしょう。せいぜい「あと半年待てば、もっと良い景気が謳歌できたのに」といった程度のことでしょう。

 景気拡大期には上記の好循環が働くため、最悪の場合でも「引き締め過ぎたと思ったら、金融を再び緩和すれば再び景気は拡大を続ける」はずです。潰れるのは景気ではなく、中央銀行のメンツだけです(笑)。

 一方で、引き締めが遅れると、人々のインフレマインドに点火してしまう可能性があります。そうなると、人々が「買い急ぎ」をするようになり、一層インフレが加速しかねません。賃金も上昇しはじめると、それがインフレの火に油を注いでしまうかも知れません。そうなったら、中央銀行は景気を腰折れさせてでもインフレを止めなければならないでしょう。

 その場合には、激しい引き締めによって景気が腰折れし、人々のインフレマインドが消えたことを確認するまでは金融の引き締めが続くかもしれません。

今次金利高・株安で、引き締めが遅すぎるリスクは遠のいた

 これまでは、景気が良くても賃金も物価も上がらず、長期金利も安定していて、不思議な状態だったのが、景気に即したインフレ率と長期金利に近づいたとすれば、これは正常化のプロセスだと理解すべきでしょう。株価も、1日だけで見れば大幅下落ですが、水準を見ると年初来の「スピード違反」が調整されただけ、とも言えます。

 今次調整により、景気が多少なりとも冷やされて、景気過熱によるインフレの時期が遠のいたのであれば、長期的な景気にとってはプラスだったと言えそうです。今後も、景気が拡大を続けてインフレ懸念が高まるたびに、今回のような長期金利の上昇と株価の調整が行われるのであれば、インフレの本格化までは今少し時間がかかるでしょう。

 人々のインフレマインドに火がつき、中央銀行が本気でインフレを心配し、景気を腰折れさせる目的で金融を引き締めるようになるのは、当分先のことだと考えてよさそうです。

 米国経済の景気拡大がしばらく続くのであれば、日本経済も当分の間は拡大を続けると考えてよさそうです。日本の景気の方向が変わるとすれば、最も重要な影響力を持つのは米国の景気ですから。

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