公立中学が挑む教育改革

2018年3月5日

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多田慎介 (ただ・しんすけ)

ライター

1983年、石川県金沢市生まれ。大学中退後に求人広告代理店へアルバイト入社し、転職サイトなどを扱う法人営業職や営業マネジャー職を経験。編集プロダクション勤務を経て、2015年よりフリーランスとして活動。個人の働き方やキャリア形成、企業の採用コンテンツ、マーケティング手法などをテーマに取材・執筆を重ねている。著書に『「目的思考」で学びが変わる 千代田区立麹町中学校長・工藤勇一の挑戦』(ウェッジ)。

生徒とともに過ごす時間以外は、なるべく削減したい

 特別な予算を必要としない改善にはすぐに着手した。その一つが「教職員の会議」だ。教職員は毎朝、職員室で朝の打ち合わせをする。着任当初の工藤氏は延々と続く全体打ち合わせの光景を目の当たりにして、辟易していた。その打ち合わせには明確なアジェンダ(議題)がなく、ただの報告会になっており、早く終わらせるための工夫もなかった。

 そこで工藤氏は職員室内にある副校長席の後ろにホワイトボードを置き、会議のルールを定めた。

赤字で書いたものは生徒に伝えなければいけないこと
青字で書いたものは教員の間で共有しなければいけないこと
・ホワイトボードに書いてあることについて打ち合わせで話す必要はない
・これらは各自が責任を持って確認する
・その他、口頭で伝えたいことがあれば見出しと担当者名を書いておく

会議時間短縮のために活用されているホワイトボード

「このルールを徹底したら、それまでは5分も10分もかかっていた朝の打ち合わせを1分程度に短縮できました。今朝などは10秒で終わりましたよ。教員の始業時間は8時ですが、生徒は8時15分から登校します。この間に『10分のロス』があると、早く教室に行って子どもたちの様子を見てあげることもできない。教員は生徒とともに過ごす時間を何よりも大切にするべきなので、他の時間はなるべく削減したいと考えています」

 改善の効果は月2回の定例職員会議にもおよんだ。定例会議のスケジュールは「14:30〜15:30」。しかし現実は、毎回予定終了時間をオーバー。「始まりも終わりも押す」のが当たり前だったという。現在の職員会議は月1回、30分程度。「全体に周知しなければいけないこと以外は会議で話さない」というルールを徹底し、教職員が使うグループウェア「校務支援システム」の掲示板などを活用して、会議に頼らない円滑な情報共有を進めている。

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