実践者・中村龍太が考える「カシコイ副業」

2018年3月16日

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中村龍太 (なかむら・りゅうた)

複業家・ポートフォリオワーカー

1964年広島県生まれ。大学卒業後、1986年に日本電気入社。1997年マイクロソフトに転職し、いくつもの新規事業の立ち上げに従事。2013 年、サイボウズとダンクソフトに同時に転職、複業を開始。さらに、2015 年には NKアグリの提携社員として就農。現在は、サイボウズ、NKアグリ、コラボワークのポートフォリオワーカー。2016年「働き方改革に関する総理と現場との意見交換会」で副業の実態を説明した複業のエバンジェリストとして活躍中。

問題が起きたことはないのか?

 そう! これが、誰もが聞きたいこと! これだけ、複業を先陣切ってやっていると、さまざまな問題がでてくる。まさに複業の人体実験だ! サイボウズで起こった一つの事件を披露しよう。2017年4月、僕は、Kindleに電子書籍として一つの報告書をアップした。それは、『「事実」と「解釈」が織りなすサイボウズのダイナミズム: ~なぜ、多様な働き方と事業拡大が両立できるのか~』である。これが複業なのか会社への毀損なのか判断できないということで物議をかもしだした。

 なぜかというと、この中には、サイボウズの社内研修で使っているコンテンツがあった。それを使った報告書が250円で売られ、僕のポッケに入ってくることに対してだ。そもそも僕は、経営情報学会で発表した報告書が、パソコンの奥底で眠ってしまうのがもったいなく、オープンにアクセスしやすい場所に置きたかった。その結果としてKindleを選択し、無料では置けないので、250円という値段をつけたまで……。

 それが、経営トップの会議の被告人席(笑)に立つことになるとは想定外……ドキドキだ。事実から確認される。上長からの指示で書いたものなのか……No。業務時間内で書いたものなのか……No。さまざまな議論の中で、そもそも、いろんなところでサイボウズのチームワーク溢れる社会をつくるために、ブランドやコンテンツが露出されていくことは良いのではないか、本業なのか複業なのか議論するよりは、むしろ、値段がついて、会社の価値を毀損しないものをすべて複業でうけたらどうなるのか? などなど、1時間近くかけて議論した。これから多くでてきそうな問題……このような知的財産にまつわることと予感する。

Jirsak/iStock

 2017年12月22日、汐留界隈の会社、ソフトバンク、電通の社員などが集まる「LifeWorkS Project」に参加した。最近、副業解禁されたソフトバンクの社員が、ビザスクというコンサル的な仕事をマッチングするサービスに登録して、それに注意喚起をしていた。コンサルという名のソフトバンクの社員だからこそ知り得る情報をスポットで聞きたいという仕事……敷居の低いネットの世界……。悪気がなくても問題が発生するケースがありそうだ。……えっ! 僕のケースはどうなったか……? 結果的に、内容がサイボウズに毀損をおよぼしていないことが確認され、これは複業と認められた。そして、会社として大事なこと……中身の良し悪しの前に、資産、ノウハウなど使うならオープンにするということが確認される出来事となった。

 こういう経験でつくづく思うこと……問題はでて当たり前という世界観。問題がでないように、ルールをつくることではなく、無論、問題をオープンな場で議論せずに封印してしまうのは言語道断! こうやって一つ一つ議論して問題を解決していく力、学んでいく力をつけることが未来を創るために大切だ。

  
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