2024年12月6日(金)

Wedge REPORT

2018年3月9日

 たとえば特定の言論や判断を正当化しようとするために事実とは異なるデマを用いて他者を攻撃する行為があったとします。これを否定せず発言に責任も求めないことは、恣意的な特定の対象だけへのエンパワーメント、えこひいきでしかなく、全くフェアではないといえます。そのしわ寄せは、全て被害の当事者へと押しつけられてきたのです。そこまでの犠牲を払って守られてきたものは、一体何だったのでしょうか。

 冒頭の三菱総合研究所の調査結果からも読み取れるように、風化が進み情報更新の機会も減る中で、今も東京都民の半数近くが福島に対して差別につながりかねない誤解を持ち続けたままです。 「もはや議論の余地がほぼない(科学的に決着のついた)事実」については決して譲歩せず、ぶれない姿勢を強く示し続けることによって誤解を減らし、一人ひとりの不安からの「解放と自立」を手助けしていくことが必要です。

 あの災害から7年目となる今、福島は震災当時とは大きく変わりました。

 今回は、今も残る複雑な課題ばかりを書いてしまいましたが、たくさんの方々から寄せられた善意やご支援の種が芽吹き、実を結んできたこともたくさんあります。その成果を、どうかその目で確かめていただきたいのです。

 楽しいことも、面白いことも、綺麗なものも、美味しいものも、お見せしたいものがたくさんあります。もしよろしければ、変わらない「フクシマ」とは違う変わりゆく現在の福島に、もう一度関心をお寄せいただければ幸いです。

  
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