2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年4月23日

 4月3日、米国のトランプ大統領は、バルト3国(ラトビア、リトアニア、エストニア)の大統領とホワイトハウスで会談した。会談後、4者が揃っての共同記者会見が行われた。その概要を紹介する。

(iStock.com/Jay_Zynism/PhonlamaiPhoto/Quardia/Birute)

 トランプ大統領は、バルト3国独立100周年に祝意を表した。まず安全保障に関しては、バルト3国がNATO(北大西洋条約機構)の加盟国であり、NATOの役割分担を守り、国防予算をGDPの2%以上費やすという約束も守っていると称賛した。今後も、米国は3国に武器を提供すると述べた。次に経済関係については、バルト諸国は、米国の自動車、航空機、機械等の重要な輸出先だとした。最後にエネルギー安全保障にも触れ、米国はバルト諸国にLNG(液化天然ガス)を輸出すると述べた。

 リトアニアのグリバウスカイテ大統領は、米国との同盟関係を強調した。NATOの改革の必要性にも触れた。そしてテロとの闘いでは世界各地で米国とともに行動した、と述べた。具体的には、アフガン、マリ、中央アフリカ、コソボ及びウクライナが挙げられた。経済関係では、米国の天然ガス供給に謝意を表明した。エネルギーの供給元を分散することで、リトアニアはより独立して政策決定を出来るようになると述べた。トランプ大統領のリーダーシップへの期待も表明された。

 ラトビアのヴェーヨニス大統領は、米国とバルト諸国が国防と安全保障協力を強化することを称えた。現代の脅威としては、テロ、サイバー、情報戦争及び核拡散を挙げた。ラトビア大統領は、米国との経済関係にも触れ、ラトビア企業によって、ジョージア州、ノース・カロライナ州、カリフォルニア州等に2000人以上の雇用が創出されたとアピールした。

 エストニアのカリユライド大統領は、独立100周年のうち50年間はソビエト連邦に占領されていたと述べた。その間も米国を始めとする民主主義諸国はソ連の占領を承認せず、エストニア国内で当時掲揚できなかった国旗も米国では掲げられていたことに、大統領は謝意を表明した。米国とバルト諸国のパートナーシップは、民主主義の原則、個人の自由及び法の支配に基礎を置いている。バルト諸国は小国ながらもその地理的重要性のみならず、テロとの闘い等国際社会の安全保障にも貢献しGDP(国内総生産)の2%を国防費に当てていると、エストニア大統領は強調した。エストニアには、NATOのサイバー・セキュリティ・センターがある。エストニアが最も早くからサイバー攻撃にあったからだ。我々は、この問題でも協力して対処することが重要である、と大統領は述べた。

出典:‛Remarks by President Trump and Heads of the Baltic States in Joint Press Conference’ April 3, 2018)


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