2024年11月23日(土)

古希バックパッカー海外放浪記

2018年6月17日

奇跡の和食屋Kに集う人々

 レナは半年の予定でトレッキングツアーをしている。ネパールでは3カ月かけてエベレストのベースキャンプ、アンナプルナ山麓などを歩いてきた。ネパールの後はイランの最高峰ダマバンド5610メートルを登頂して、さらにアルメニア、グルジアというコーカサス山脈を歩く。

 その後はウズベキスタン、キルギスタンの山々を歩くという長丁場だ。欧米女性にはこのような大冒険を楽しみながらさらりとやってのける人が多々いる。

 4月7日。和食屋台Kで天ぷら定食を頂く。不思議とKで食事していると面白い人間に遭遇する。この日はイタリア人のダリオと歓談。彼もKの和食を絶賛。

食堂Kで一緒になったデザイナーと土木技師の女性と嬉しそうなオジサン

 ダリオはミラノ出身の服飾デザイナーであるが、現在はプロデューサーとしてアジアと欧州ブランドを繋ぐアパレル関係の仕事をしている。繊維原料のヤクの毛はチベットから、そしてカシミヤはモンゴルから調達して、カトマンズの工房で織物に加工。ネパールでは男が機織り、女が染色という伝統的分業が成り立っていると蘊蓄。

 そして中国の縫製工場で最終製品に仕上げてプラダ、アルマーニ、ラルフローレンなどの高級ブランドやイタリアの量販ブランドであるベネトンなどに納入している。

 彼は仕事を通じて上海出身の中国女性と知合い結婚。現在杭州市内の高層マンションに居住。アジアとヨーロッパを忙しく往復する日々である。ダリオは三宅一生のデザインを高く評価しており、彼のブランドに共同企画商品を納入することが当座の目標とのこと。

中国共産党を何とも思わない“あっぱれ”台湾女子

 4月8日。夕刻5時半過ぎに和食のKに行くが既に売り切れで閉店準備をしていた。仕方なく試しに老舗の日本食レストランFに行ったら、台湾女子が天丼を食していた。

 なんだかんだと彼女と話し込んでしまい、結局オジサンも親子丼を注文。予想通り現地人が調理した日本食であり合格点からは程遠かったが、台湾女子リン・チーウェン、28歳との会話がエキサイティングであった。

 リン少姐(シャオジエ)は台湾南部の高雄出身。英国バーミンガム大学に留学して人事管理を専攻してMBAを取得。彼女の話から類推すると、どうも電子部品大手のエイサーの人事部門に勤務していたようだ。休職して世界一周旅行の途上であった。

 彼女は台湾人としては珍しく中国共産党をまったく恐れていなかった。むしろ中国をよく知るために中国大手企業の経営に携わりたいと野心的である。食事を終えてからゲストハウスの屋上テラスで彼女と酒盛りをすることになった。近くの酒屋でウィスキーとビールを仕入れた。

 リン少姐は自由なバックパッカー旅行を謳歌することが最優先であり、当分結婚は考えられないと気炎を上げていた。逞しい台湾女子のハイテンションに圧倒された一夜であった。

素敵なネパールの働く女性たち

 ある日の夕刻、Kで土木技師とグラフィックデザイナーであるという彫の深いネパール美人の2人組に遭遇。2人は学生時代からの友人という。2人ともきれいな英語を話す。カトマンズ在住で高等教育を受けていることから上層階級出身なのであろう。

 明るく美人で知的な彼女たちと楽しくおしゃべり。ネパールの絶対的貧困問題をしばし忘れた夕べであった。
 

  
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