ニューヨークで6月半ばにまたタクシードライバーが自殺した。また、というのはこれが過去8カ月間で6人目、今年に入ってからは5カ月間で5人目となるためだ。ニューヨークタクシー乗務員組合では自殺の理由は「経済的困窮」として、ウーバーやリフトなどのライドシェアが原因、としている。
ライドシェアのためにタクシーに乗る人が減少しているのは確かだ。2014年から16年までの2年間でタクシーに乗る人は51%減少、一方でライドシェアを利用する人は48.7%増加した。(Certify社調べ)これに伴い、タクシードライバーとライドシェアドライバーの収入も逆転。2016年の時点でニューヨークではウーバードライバーの平均時給が23ドル69に対しタクシードライバーは12ドル54となっている。(フォーブス調べ)この差はその後も進んでいる、と考えられる。
また自分の時間を自由に使えるライドシェアドライバーに対し、タクシードライバーは多くの場合2人で1台の車を12時間交代で使うことが多い。1日12時間、という長時間労働だ。それで実入りが少ないのではタクシードライバーが嘆きたくなるのも頷ける。
実際にロサンゼルス空港を見ても、タクシー乗り場には多くのタクシーが客待ちをしているのに対し、ライドシェア乗り場では大勢の客が車の到着を待っている。多すぎて自分の配車を見つけるのに苦労するほどだ。ロサンゼルス空港には1から7までのターミナルがあり、各ターミナルにタクシー乗り場があるのに対し、ライドシェアは2カ所にまとめられている。その不便さを差し引いてもライドシェアを選ぶ人が多い。
筆者は先日夜中の2時にボストンに到着したのだが、そこでも事情は同じだった。タクシードライバーは到着ゲートまで足を運び客引きをしているが、ほとんどの人は見向きもしない。ボストンのローガン空港ではタクシー乗り場とライドシェア乗り場がほぼ同じ場所にあり、筆者が到着してからの15分間でタクシーに乗った人はゼロ、ライドシェアには少なくとも5組の客が乗り込んだ。