ただ、外国人は日本人の30分の1です。なので、まだ2800万人と言っても、日本人(国内延べ旅行者数)の6億人の方にプロモーションかけた方がコスパがいい。でも、今から日本人観光客が減ることを見据えてノウハウを蓄積しておくという意味では、しっかりやっていかないといけない。外国人が来る仕組みは、ほぼ口コミで、SNS上で評判が良かったり、写真を見たりして来ているというのが私の感触です。
FITで自由にプランを組んで、うちに来て、出雲大社に行って、足立美術館に行ってという感じで。中国ですら、今、そういう感じです。最初に来たのは香港の方で、最初はいちご狩りで、次はブドウ狩りに来てとずっとリピートされている。
松本:観光を始めたきっかけは、インターネット通販でお茶を販売したら、海外でもお茶がウケるということで、英語サイトをつくった。お客さんはだいたい欧米の方なんですが、茶畑というのは日本が北限で、欧米では茶はほとんど作られていないので、茶畑を見たいという要望があって、それで観光を始めました。
2012年にティー・ツアーを英語で案内して、当時、英語もしゃべれなくて(笑)。僕らの場合は、ちゃんと説明しないと、全然価値が伝わらない。リンゴやブドウだったら、甘い、美味しいから入りますが、お茶の場合、渋いとか苦いで、美味しいと分かってもらうまでなかなか難しい世界もあったりする。けれども、ちゃんと説明すれば分かってくれる人が格段に増える。
なので僕らの場合、言語の壁はかなり大きいなと、観光をやっていて感じる。同じ農業インバウンドと言っても、アプローチも違えばやっている内容も違うなと、平田さんの話を聞いていて感じました。
平田:うちの場合、大きなリンゴがとか、大きなイチゴを取ってとか、分かりやすいので、言葉はあまりいらない。高齢のスタッフの方が、外国人を相手にするのが得意だったりする。お越しになられたら、確実に満足されるんですけども、そこまでのアプローチが一番難しいところで、なかなか知ってもらえなかったりする。
千歳空港の外国人のレンタカー利用が10年で100倍
山口:篠崎さんはもともと日本人の海外旅行に関わっていて、のちにインバウンドに関わるようになったそうですが、ここ数年のインバウンドの変化をどう感じているでしょうか。
篠崎:日本人の海外旅行の変化をみると、分かりやすい。日本人ももともと爆買いをしていたのが、関心が食にシフトして、お土産をあまり買わなくなった。日本人も最初はロンドン、パリ、ローマのような都市を訪れ、2回目、3回目になると田舎に行きたがる。大体似ているんです。
ポイントになるのが、どうやってそこまで行くのかという交通手段。どんどん個人化しているので、ここに行きたいと思った場合に、予約の方法はいくらでもあって、問題は足ですよ。この足の部分がすごく変化していて、私は2003年から北海道にいたんですけれども、その時に千歳空港でレンタカーを借りる外国人は年間300台くらいしかいなかった。ところが、2014年に2万4000台。100倍近いですね。今、レンタカーを使えないのは中国大陸から来た方だけで、あとは皆さん使えるので、レンタカーで動く人も増えています。日本人もハワイ旅行をリピートすると、レンタカーを借りるようになる。パイナップル畑に行ったり、内陸のエビの養殖場に行ったり。