2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2018年7月20日

一番美味しい食べ方と一番いい景色を売る

会場からの質問:ご紹介頂いたのは非常に魅力的なコンテンツで、家族で早速行きたいと思うようなものばかりだったのですが、全国津々浦々このレベルまで持っていけるかというのは、どうですか。

平田:いけます。供給と需要のバランスで、こちら側の方が足りていなくて、ニーズの方が多いんです。ただ、(観光農園の場合)果樹なので、植えてから実がなるまで5年くらいかかるので、なかなかそこにお金を突っ込むというのは、勇気がいることなんですけど、今、大手でも動いているところがあるので、やったもの勝ちのところはあります。北海道などでもサクランボ園ができていますし、作りさえすれば、お客さんに困ることはありませんから。あとは栽培技術と、果樹がその土地の気候に合う合わないの問題なので、どこでもできます。

平田観光農園では多様なプログラムを提供している

松本:僕もそう思います。僕らのところはベンチャーで始めているから、栽培面積も少なくて、作ったもの全部売っていくとえらいことなってまう、という感じです。なので、見せるというところにめちゃくちゃ力を入れる。あるいは、現地で食べてもらう、飲んでもらうというところ。

 一番おいしい食べ方・飲み方と、一番いい景色。そういうところはタクシーで行けなかったりする。地図上に名前もないような場所だから。そういうところに連れて行ってあげるのが、一番の価値になると思っている。それって、はっきり言えば空気を売っているようなものじゃないですか。一番単価も上げやすいうえに、利益率も上げやすい、コストがかからない。それは確実にどこでもできると思っている。要は、どれだけいいトークができるか。これから農業ということを考えると、観光業を混ぜへんかったらなかなか難しいんじゃないかとは思いますね。

篠崎:お二人の話をお聞きになって、感じたのではと思いますが、語りができるかもポイントになってきますよ。やっぱり、言葉でどう表現できるか、これが売れているところと、そうでないところの差かなと思います。それともう一つは消費者目線。観光農園でも細かいところを見ていないところもありますので、そういうところは生き残るのは難しいんじゃないかと思います。

 今、SNSが全盛ですから、上質なもの、きれいなものっていうのは大事かなと思いますね。ポイントさえ押さえれば成功するんじゃないかと思います。ニーズはものすごくあります。

松本:何を語ったらいいかっていうと、田舎だったら、お墓って山の中や畑の中にある。それを通りがかりに説明するんです。ここで僕らは生まれて死ぬ。だけど、こうやって最後、お茶になるんですよと。ご先祖様が最後、お茶になっていると。そういうことを言うと、みんな黙ります。それまで喜んでいたのに、しんみりとなる。これは効くなと思います。そこの土地でしか見れへんものを見たとか、感じたと思ってもらえると、体験の価値がボーンと上がる。そこはすごく観光をやっていてよかったと感じます。

京都おぶぶ茶苑の海外からのインターン生ら。右から2人目が松本靖治さん(同社提供)

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。 


新着記事

»もっと見る