シェア自転車大手のMobikeの美団による買収、シェアオフィスの裸心社の米WeWorkによる買収と、4月に入って有名スタートアップの買収が相次いでいる。シェア経済の分野でもてはやされた企業が財務のひっ迫などの問題を抱えて身売りする事態に、「シェア経済は死んだ」と悲観的な見方も。
昨年11月、北京市中心部のカフェでベンチャーキャピタリストの男性を取材していた時のことだ。男性はおもむろに机の上に置いてあるシェアバッテリーを指さし、「こういう会社はもう長くないだろう」と言った。
どの分野も急成長から倒産の連鎖へ
シェアバッテリーというのは、1時間に1元(約17円)程度の値段で、レストラン、カフェ、バーなどで充電ができるもので、アリペイやWeChat Payで決済する。昨年5月には、約40日間にシェアバッテリー業界で12億元(約205億円)の資金調達が行われたと騒がれた。ただ、我が世の春を謳歌できた時間は短く、夏ごろから業者の淘汰が進むようになり、10月には7社が清算段階に入ったと報道された。
中国の調査会社iiMedia Reserchが2月8日に発表した「2017‐18中国シェア経済業界全景調査報告」(http://www.iimedia.cn/60620.html)によると、2017年のシェアバッテリーのユーザー増加率は228.1%だった。同社は増加率について2018年は60.0%、2019年は46.4%と鈍化すると予測していて、先行きは明るくない。
快進撃を続けている会社のある一方で、資金調達に行き詰まる会社もあり、「シェアバッテリーの企業は二極化の局面が訪れている」と「北京商報」は伝える(http://www.bbtnews.com.cn/2018/0411/236349.shtml)。シェアバッテリー業界の躍進と失速は、すさまじい勢いで拡大した中国のシェア経済の典型といえる。
電子商務研究中心の「2017年中国シェア経済発展報告」によると、2017年12月までに190のシェア経済のプラットフォームが1159億5600万元(2兆円弱)の投資を受けたという。iiMedia Reserchの前出の報告によると、2017年の中国のシェア経済の市場規模は5兆7220億元(97兆円弱)に達した。
しかし、その裏で問題も噴出している。まず挙げられるのは、業態の同質化が顕著なことだ。技術的なハードルの低いものが多く、参入障壁が低いため、同じ分野に大量の同業者が現れ、仁義なき戦いが繰り広げられてきた。特に昨年の後半からは倒産が相次いで報じられるようになり、「シェア経済は死んだ」という言葉もよく聞かれる。