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食卓が変わる日

2018年8月14日

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タウリンの力と信じる力

現在のリポD

 肝心の効能について触れておこう。

 主成分のタウリンは、1827年にドイツの学者が牛の胆汁から発見した物質だ。その名は、ギリシャ語で牛を意味するTaurosに由来する。

 タウリンは脳や心臓、肝臓などに存在するアミノ酸の一種で、体内の状態を一定に維持する働きがあるという。つまり、タウリンの働きで疲れた体を元に戻す、というのがリポビタンDの基本的な働きだ。

 大正製薬は、効率的に栄養素をエネルギーに変換する「エナジーサイクル」にリポビタンシリーズが作用することで、疲労の回復や予防などに効果があると説明している。エナジーサイクルとは、糖質・脂質・タンパク質を生命活動に必要なエネルギーに変換するシステムのこと。タウリンは脂質に作用するため、脂肪の燃焼に関わってエネルギー変換を活性化するのだそうだ。

 ラベルにびっしり表示されている効能を見ると、「体力、身体抵抗力又は集中力の維持・改善」「疲労の回復・予防」などが並んでいる。「日常生活における栄養不良に伴う次の身体不調の改善・予防:二日酔いに伴う食欲の低下・だるさ」にもいいとある。

 40年ほど前、両親が毎日そろって、仕事のあい間にリポビタンDを飲んでいたことを思いだす。本人たちは、「これでやる気になる」といっていた。有効成分の働きで、少々つらい仕事でも疲れず、集中力が落ちないと信じていたのだろう。

栄養ドリンクかエナジードリンクか

 気になるのは、最近急激に伸びてきた「レッドブル」や「モンスター」などのエナジードリンクとの違いだ。

 このところレッドブルやモンスターは、ラベルのデザインのかっこよさから若者に人気だという。これらはカテゴリー的には清涼飲料水で、コーラと同じ部類に入る。一方のリポビタンDなどの栄養ドリンクは、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)における医薬品もしくは指定医薬部外品で、有効成分の安定性を使用期限内(3年以上)の間、しっかり確保しなければならない。

 だからこそ効能が謳えるわけだが、大正製薬担当者は、「逆にそこが我々の課題になっています。効能のありなしをはじめ、栄養ドリンクの定義が消費者にはなかなか浸透していないため、我々の商品の良さを伝え切れていない。エナジードリンクのほうが元気になれそうだというイメージをもっている方が、特に若年層に多い」と言う。

 いずれにしても薬機法に則れば、栄養ドリンクとエナジードリンクは似て非なるものだが、消費者からすれば、違いがわからない。実のところ、栄養ドリンクもエナジードリンクと呼ばれることがある。

 レッドブルの創業者ディートリッヒ・マテシッツ氏は、香港のマンダリン・オリエンタルのバーでパラパラとめくった『ニューズウィーク』誌で、大正製薬の経営者が日本の高額納税者であること、さらにリポビタンDという商品があることを知ったという。そこからエナジードリンクの将来性に注目したと、『レッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのか』(日経BP社)にある。マテシッツ氏はいいところに目をつけたわけだ。

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