手を結ぶアメリカと中国
09年11月、訪中したオバマ大統領は、胡錦濤国家主席と「米中シェールガスイニシアティブ」を発表した。中国にも埋蔵されるガスの開発に米国が技術協力するというもの。中国の国有石油会社が米国内でシェールガスの生産に参画して技術的な知見を得る代わりに、米国企業は、中国国内のシェールガス田の開発に加わることでビジネスチャンスを広げる。
中国でのシェールガス開発が進めば、エネルギー源の7割を石炭に頼るために出るCO2の削減、さらには世界各国で巻き起こしている中国の“資源買い漁り”を緩めることができるかもしれない。
ただし繰り返しになるが、中国に限らず、カナダ、豪州などでもシェールガスの開発は進んでも、それが流通するのは2015年以降だ。長期的には世界的な需給は安定する方向にあるものの、日本にとってはこの3年間が勝負の分かれ目になる。
石井 彰(いしい・あきら)
1950年東京都生まれ。エネルギー・アナリスト。エネルギー・環境問題研究所代表(JOGMEC特別顧問、早稲田大学非常勤講師・研究員)。上智大学卒業後、日本経済新聞社記者を経て、石油公団で資源開発に携わる。1980年代末からは、石油・天然ガスの国際動向調査分析に従事。ハーバード大学国際問題研究所客員、パリ事務所長などを歴任。近著に『エネルギー論争の盲点 天然ガスと分散化が日本を救う』(NHK出版新書)。
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