今回は『老後破産しないためのお金の教科書 』の著者である塚崎が、株価が暴落するメカニズムについて解説します。
株価は、時々暴落します。投資の初心者は株価が暴落すると「この世の終わりだ」と思って持っている株を投げ売りしてしまうことも多いようです。
一方で、少し慣れてきた投資家は暴落の途中で「これほど割安な水準まで売られたなら、今が買い時だ」と考えて買うことも多いようです。しかし、結果として「落ちてきたナイフを素手で掴んで怪我をした」という場合も多いようです。
いずれも、暴落のメカニズムを知っていれば、軽率な売り買いは避けられるかもしれません。
株価が暴落する時は、適正価格を大きく下回っても売り注文が止まらず、株価が下がり続けることが多いです。それがなぜなのか、考えて行きましょう。
値下がりすると買いが増えて売りが減るのが普通だが
株価は、売り注文と買い注文が一致したところに決まります。そして、株価が「妥当な株価」を上回ると(株価が割高になると)売り注文が増えて買い注文が減って株価が下がり、株価が「妥当な株価」を下回ると(割安になると)売り注文が減って買い注文が増えて株価が上がるのが普通です。
投資家は、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)といった評価指標を用いて株価が割高か割安かを判断していますから、若干の相違はあっても概ね投資家たちの相場観は似通っています。そこで、投資家たちの相場観の平均的な所に株価が落ち着くのが普通なわけです。
重要なことは、「各投資家が相場観に基づいて売り注文や買い注文を出している、という前提に立つとそうなる」、ということであって、そうでない場合には違うことが起こり得る、ということです。
機関投資家には、割高だと思っても買わざるを得ないことがありますが、それについては本稿では触れず、割安だと思っても売らざるを得ない場合について論じることとします。