2024年4月20日(土)

Wedge REPORT

2018年10月30日

よりスーパーになってピッチに帰ってくる

 苦難に陥りながら這い上がった経験の持ち主だからこそ、今の窮地からも必ずや這い上がれると信じている。長期欠場になれば、当然ながらポジション確保も難しくなるが、今の長友はチームにとって必要不可欠な存在だけにそう簡単に窓際へ追いやられるようなことはないと考えたい。

 長友はインテルから期限移籍していたガラタサライへの完全移籍が今夏に決定。トルコの名門クラブチームで2シーズン目を迎えた「日本のダイナモ」に対する評価は相変わらず高い。

 事実としてファティ・サリム監督は左サイドバックの長友に全幅の信頼を置いている。そして控えの左サイドバックでオメル・バイラムも長友のプレーや謙虚な態度に心酔。27歳のトルコ人は32歳のベテラン日本人選手を師匠のような存在として尊敬の念を持ち、いい〝師弟関係〟を築きつつある。サリム監督が「長友は今のチームでピッチ内外において重要な役割を果たしている。彼に代わる存在は見当たらない」と激賞しているほどだ。

 意地悪なトルコメディアからは「長期欠場となれば、さすがの長友もサリム監督から見放される」「長友のプレースタイルにとって命綱ともいえる肺に爆弾を背負い込んだことに、ガラタサライ側も神経を尖らせている」などといった指摘も聞こえてくる。とはいえ、地元メディアが何かと粗探しをしたくなるのも仕方がない話で、これは今に始まったことではない。

 ただ、こうした厳しい声に古参の日本サッカー協会関係者は「長友ならば、いい意味で予想に反し、よりスーパーになってピッチに帰ってくるはず」と反論し、次のように続けた。

 「長友は10年前から日本代表のトップチームに召集され、今の森保ジャパンでもチーム最年長として主力の1人として名を連ねている。ロシアW杯を最後に同世代のメンバーが代表引退を表明する中、今も堂々と大事な試合で先発し続けているのだから大したものです。代表の雰囲気にまだ馴染めていない、若い世代との架け橋のような役割も果たしてくれるし、ムードメーカーとしても欠かせない。責任感の強い男ですから、必ず戻ってきてくれるでしょう。もちろん森保監督も彼に対する信頼度はまったくの不変ですし、カムバックを信じています」

 個人的な思いで恐縮だがこれまでの取材現場でも、あれだけ名声を得ていながらまるで飾らない上に元気印を見せつけながら終始明るく振る舞う長友の姿に感銘を受け続けてきた。記者に対する気配りも代表選手の中で図抜けていて、素晴らしい性格の持ち主だ。誰からも好かれる男・長友の早期復帰を願わずにはいられない。

  
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