「分断対応型の選挙戦略」とは
08年及び12年の米大統領選挙で、研究の一環としてオバマ陣営に参加し、戸別訪問を行いました。同陣営は、どちらの候補に投票するべきか「決めかねている有権者」や、投票に出向いたり出向かなかったりする「気まぐれな有権者」を標的にしていました。16年米大統領選挙では、今度はクリントン陣営で戸別訪問を実施しましたが、当時同陣営も浮動票の掘り起こしに時間を割いていました。いわゆる、「真中」を狙った選挙戦略です。
これとは対照的に、トランプ陣営は岩盤支持層に火をつけ、投票所に動員させる選挙戦略をとりました。正に、分断する米社会に対応した戦略、いわゆる「分断対応型の選挙戦略」といえます。
トランプ登場と分断された米社会が、選挙戦略を変えたのです。そうなると、20年米大統領選挙においても、トランプ大統領は岩盤支持層を固める戦略に出るでしょう。一方、民主党候補は異文化連合軍を奮起させます(図表)。
つまり、2年後の選挙では「決めかねている有権者」や「気まぐれな有権者」ではなく、どちらの陣営が熱狂的な支持者を投票所に動員できるか否かが、勝敗を左右する最大のポイントになります。
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。