2024年4月14日(日)

“熱視線”ラグビーW杯2019の楽しみ方

2018年11月16日

――それではお勧めのチームを教えてください。

村上:優勝候補はオールブラックスですが、現在調子を上げてきているのは南アフリカです。かき回してくれそうな存在がフランスとアルゼンチン。

田村:確かにアルゼンチンは強いですね。それにフィジーにも注目したいです。

 彼らが活躍する大会は面白いですよ。2007年大会もそうだったのですが、フィジーの調子が良ければどんなチームにも勝つ可能性が出てきます。

 彼らが世界一になることはないだろうけど、優勝候補を食ったり、苦しめたり、他のチームとは異なる独特のスタイルを楽しめますから、フィジーの試合はぜひ見ていただきたいです。

――オールブラックス、南アフリカ、フランス、アルゼンチン、フィジーの名前が挙がりましたが、たとえば選手を見るという点ではどうでしょう。

田村:ウルグアイとかナミビアとか、あの国々の選手たちは、この大会で活躍すればフランスでプレーできるとか、南アフリカでプレーができるチャンスを掴もうと狙っています。2007年アメリカに黒人の陸上選手から転身したタクズワ・ングウェニアという選手がいたのですが、当時南アフリカに世界一のウイングと呼ばれたブライアン・ハバナという選手を派手に抜いて、一気に世界中に存在感を示したところ、大会終了直後にフランスのチームとプロ契約を掴んだことがありました

 いろいろな選手が夢を持って大会に臨んでいますので、そういった原石を見るという楽しみもあります。

多様性を受け入れる文化

村上:また、ラグビーには多様性を愛する文化があります。

 世界にはいろいろな民族とか人種の人たちが住んでおりますが、ラグビーにはその国に3年間住めばその国の代表資格が得られるというルールがあります。たとえばニュージーランドに長く住んでいても、おじいちゃんがスコットランド出身だからとスコットランド代表になった選手もいます。

 ラグビーはどこへ行っても仲間として受け入れてくれるのがいいところで、全世界でそのルールが守られています。

田村:現在日本代表には外国出身者が含まれています。帰化している選手もいます。日本のラグビー文化の中で育った我々の仲間です。これは日本に限らず世界中のルールなのです。

 日本のトップリーグで活躍して3年以上経って日本代表に選ばれる選手もいますし、日本代表キャプテンのリーチ・マイケルのように高校時代に日本に留学して、日本でラグビーが上手くなって日本代表に選ばれる選手もいます。奥様も日本人で、日本文化もよく理解しています。

 これはラグビーが多様性を受け入れる文化があるということです。それがラグビーの魅力であり、ど真ん中にあるものです。

 なんで日本代表にこんなに外国人がいるんだと言う方たちもいますが、ラグビーをやっている人は胸を張って広めていきたいと考えています。

――ウィルチェアーラグビーのワールドチャレンジシリーズが同時期に開催されます。これも多様性の表れのひとつですね。

 1964年の東京オリンピックとパラリンピックのように大きな意義があると思います。

田村:ラグビーとウィルチェアーラグビーの日本代表選手の交流はすでに始まっています。ボールの形も違うしルールも違うので一見するとラグビーとは異なるスポーツに見えますが、実際に試合を観てもらえばわかるのですが、激しいぶつかり合い、選手同士の連携やコミュニケーション、スピリットに両競技の選手たちは共感し合っています。お互いに頑張ろうと励まし合っています。

 ウィルチェアーラグビーは8月の世界選手権で優勝しいまや世界一のチームです。ですが、体のサイズやパワーの点で海外の選手のほうが速かったり、力が強かったりするのですが、コミュニケーションの妙で抜いていったり、頭脳戦で攻略したり、それは日本のラグビーが世界に挑んでいく構図と同じです。

 ウィルチェアーラグビーの大会は、10月16日~20日に東京体育館で行われます。ラグビーワールドカップの期間中ですが、準々決勝の前の1週間ですので、ぜひご観戦を。

 日本が世界の強豪国を迎え撃つのですから会場には同じような空気が流れています。その醍醐味を味わってください。そしてどちらのラグビーも楽しんでいただければと願っています。

村上:ラグビーにはウィルチェアーラグビーの他にデフラグビー(聴覚障害者のラグビー)もあります。やはりラグビーには多様性があって、障害者の人にも競技をする機会があるということです。

 僕が取材した人にほぼ目が見えなくて健常者といっしょにラグビーをやっている人がいましたが、周囲の人とのコミニュニケーションによって一緒にプレーを楽しんでいました。周りの人が積極的に身振り手ぶりでコミュニケーションを図るから可能なのです。

 目の見えない子には周りが声を掛け、耳の聞こえない人には身振り手振りで話し掛けることによって、共にラグビーを楽しむことができる。

 多様性を愛し、受け入れる。これもラグビーの魅力でありスピリットです。

――村上晃一さん、田村一博編集長、本日はお忙しい中お時間を作っていただき、また貴重なお話をありがとうございかした。心より感謝申し上げます。

*特別編へ続く(17日公開予定)

  
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