WEDGE REPORT

2018年12月7日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

ハッキングに危機感

 今後はAIを使ったフェイクニュースが増えていくのは確実だ。怒りや不安をあおるような偽記事・偽広告は感情に訴えるせいか、普通の記事よりも多くリツイートされる傾向がある。顔のすり替えや音声を変えるなどすることが行われており、メディアの側にも強い危機感が生まれている。

 WSJではフェイクニュースが増加していることに対して「この1年半が勝負」だとして社内にフェイクニュースを出さないようにタスクフォースを立ち上げ大学などとも連携して記者教育を行っている。また米国議会の中にも超党派でディープフェイクを排除しようという動きもある。

 顔のすり替えや音声の変換などができるソフトは、アドビやIBMなどのソフト会社が販売しているので簡単に手に入る。だましてやろうというハッカーたちに使われる恐れがあり、こうしたハッキングは民主主義の危機になるとみている。

 では本物かどうか見分けがつきにくいディープフェイクと呼ばれる偽ニュースにどう対処すればよいのか。常に批判的に考える、疑ってかかる、取材源に当たる、質問するといった伝統的な手法で確認することが大事だ。さらに、グーグル検索をフルに活用する、ビデオはスローダウンして写っている人間の瞬き、光の具合、ぼやけなどを点検することなども必要だ。災害や飛行機事故の現場写真の場合は、偽の写真が使われた事例が多くあるので、特に疑ってみることが肝心だ。写真などで細工されたフェイクニュースを見破るAI技術も確立されていくので、そうしたものも使っていく必要があるのではないか。

新しいテクノロジーを取り入れる

 メディア業界で、デジタルの時代になって、フェイスブックが保有する個人情報の大量流出など、社会全体に大きな影響を与えるような、民主主義の在り方を問うようなスクープが増えている。これまでは1年に1、2本しか出てないような影響の大きい記事が出てきており、複数のメディアがチームを組んで調査報道をするスタイルも始まっている。

 AIが導入されると、仕事が奪われるという危機感には同感できるが、そういう捉え方ではなく、トランプ政権によりメディアが侵略される前に何か手を打つ必要があるのではないか。そのためには、AIなど新しい技術を使っていくのが良いのではないかと思う。

  
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