パラアスリート~越えてきた壁の数だけ強くなれた

2019年1月16日

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鍼灸院を開設、視覚障害者がチャレンジできる「場」

 2018年12月3日「視覚障害者の雇用創出!」をテーマに、田村は視覚障害者柔道の先輩であり、障害者雇用コンサルタントの初瀬勇輔のサポートを受けユニバーサル鍼灸院を開設した。

 開院にあたってはクラウドファンディングによって資金援助を受け、初瀬がオーナーで田村が院長という形で立ちあげた。ここでのノウハウを蓄積し横展開を図って、視覚障害者の雇用を創出しようという視覚障害の当事者による視覚障害者のための挑戦である。

 これは田村にとってはもちろん、初瀬にとっても初の試みとなるものだ。

初瀬勇輔さんと田村さん(撮影:筆者)
<初瀬勇輔氏>
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http://wedge.ismedia.jp/articles/-/2394
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 「企業でヘルスキーパーとして働いている自分に疑問を感じ始めたからなんです。企業内ではマッサージしかできず、針治療をしたり専門性を生かして自分の幅を広げていきたいと思ったのです。それで退職を考えました」。

 その後、いったんは兄が経営する治療院の副院長として経営を学び、その後独立するか、または企業へ再就職するか迷ったところで、初瀬を訪ね、自分が向かうべき道を相談した。

 初瀬とは柔道の先輩、後輩の間柄で情報交換をしあう仲だ。

 答えは明確だった。

 「独立できるんなら、その方が楽しいよ」。

 あっさりとした回答に迷いがなくなった。

 実はこのとき、初瀬は独自に出身地である長崎で開院できないだろうかと考えていたのだ。そのタイミングと田村の独立したいという思いが合致した。

 また、鍼灸院を開くにあたっては経営者としての初瀬の知識は不可欠だ。

 この瞬間から互いの専門性を生かした話し合いが重ねられた。

 「初瀬さんは障害者雇用のコンサルタントなので、視覚障害者が働きやすい環境を創りたいという強い思いを感じましたし、理解者が増えて、大勢の方たちから頑張ってくださいと背中を押されて、短期間のうちに開院することができました。とても一人でここまでできるとは思えません。ご協力して下さった皆様に感謝しています」。

 ユニバーサル鍼灸院に懸ける思いを初瀬にも聞いた。

 「以前から視覚障害者の雇用を創出したいと考えてきました。それには視覚障害者が働ける具体的な『場づくり』をしなければなりません」。

 「それには経験やノウハウが必要で、このユニバーサル鍼灸院ははじめの一歩です。ここで蓄積されたノウハウを生かして、チャレンジしたいという鍼灸やあん摩マッサージ指圧師の国家資格を持った視覚障害者たちと協力して店舗を拡大していきたいと思っています」。

 「僕も田村もこれまで人に助けられながらもいろいろなことにチャレンジしてきましたので、これからは視覚障害者が夢や希望を持ってチャレンジできる『場』を創ることで貢献していきたいと考えています」。

ユニバーサル鍼灸院
http://www.universal-shinkyu.com/index.html


  
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