2024年11月22日(金)

WEDGE REPORT

2019年1月16日

最も侮辱的と反発

 こうした疑惑に対し、トランプ大統領はフォックス・テレビなどに出演し、強く反発した。「ロシア人のために働いているのか、これまで働いたことがあるのか」。司会者にこう問われた大統領は「最も侮辱的な質問であり、ひどい記事だ。記事には何の中身もない。私は気にしない」と強がって見せた。

 内通疑惑の捜査について、大統領は「FBIは私を傷つけようとした連中に率いられていた。私は前任者らと比べ、ロシアにはより強硬的だ」とし、ハンブルグ首脳会談の内容についても「プーチン氏とはイスラエルの安全保障問題など有益な会話を行った」と通常の会談であったことを強調した。

 大統領は現在、メキシコ国境への壁建設費を予算に計上するかどうかをめぐって民主党と激しく対立。予算が成立していないため政府機関の一部が閉鎖され、1月11日、これまでの最長閉鎖期間「21日」を抜き、ワースト記録を更新中だ。だが、合意の目途は全く立っていない。

 しかし、こうした大統領と民主党との間で現在勃発している対立は「単なる小競り合い、序章」(米紙)にすぎず、「本格的な政治戦争はこれからだ」(専門家)という見方が強い。次期大統領選のある2020年に向けて両者の対決はよりとげとげしく、激しさを増していくのは間違いあるまい。

 その手始めは15日に上院で予定されている司法長官の承認審議だ。大統領に長官に指名されたウイリアム・バー氏はモラー特別検察官の捜査に批判的。これに反発した民主党が手ぐすねを引いて待ち構えている。このほか、ロシアの新興財閥に対する制裁解除審議や、2月7日にセットされているトランプ大統領の元個人弁護士マイケル・コーエン氏に対する公聴会もある。

 とりわけコーエン氏は16年の大統領選直前、トランプ大統領の不倫相手2人に口止め料を支払ったことを供述し、大統領が「うそつき」と罵っている相手だ。本人は選挙法違反などに問われて3月から服役することが決まっているが、再び不倫問題に大きな注目が集まるのは必至で、大統領にとっては打撃となるだろう。

 新たに浮上したロシア関連疑惑について、下院の新しい外交委員長になったエンゲル民主党議員はプーチン氏との首脳会談を含め、トランプ政権の外交政策を調査する小委員会を設置し、徹底的に吟味する考えをすでに明らかにしている。展開次第によっては、大統領弾劾ということも視野に入ってくるだろう。民主党はすでに次期大統領選に連邦議員らが出馬を名乗り出るなど攻勢を強めており、激しい政治の季節が始まった。

  
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