2024年6月25日(火)

中東を読み解く

2019年2月12日

プーチン氏が主役に

 だが、トランプ大統領が現時点の損得勘定だけを重視している間に、中東、西南アジアではロシアのプーチン大統領の存在が動かしがたいものになっている。シリアでは、米軍撤退後の力の空白をめぐって各勢力の思惑が入り乱れているが、その調整役をプーチン氏が担い、事実上支配地の割り振りさえ主導している。ロシア、トルコ、イランの「シリア和平会議」もその一環だ。

 また例えば、トルコとシリアのクルド人とは戦争の危機にあるが、米国が頼りにならないと見て、双方ともプーチン大統領にすり寄り、調停を持ち掛けているし、アサド・シリア政権とクルド人との接近に一役買い、またシリアを舞台にイスラエルとイランの緊張が高まらないようバッファーの役割も担っている。

 かつて旧ソ連時代にアフガニスタンに侵攻して敗北したロシアにとって、アフガニスタンは依然、戦略的なロシアの裏庭であり、影響力を保持し続けたい重要地域だ。このため、タリバンにはこれまでも、米国を激怒させない程度に資金や武器を援助してきたが、トランプ政権の米軍縮小決定を受けて公然とアフガンへ介入し始めた。

 モスクワで2月5日から開催した「アフガン和平会議」はプーチン氏のそうした野心を示すものであり、「ポスト・アメリカ」の力の空白を埋めようとする動きにほかならない。米国がこのほど、中距離核戦力(INF)全廃条約を破棄するなど、ロシアへの強硬姿勢を示していることも、シリアやアフガンでプーチン氏が主導権を誇示する動機になっている。

 米国には過去、肩入れしていた外国政権を見限ってきた歴史がある。ベトナム戦争では南ベトナム政府を見捨て、その後も、イランのパーレビ国王、フィリピンのマルコス大統領、エジプトのムバラク大統領などと続いた。アフガンの政権がこうした“屍の列”に名を連ねるのも遠い話ではない。

  
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