WEDGE REPORT

2019年4月2日

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中国の揺さぶりに
「スパイ同盟」の足並み乱す英国

 中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)の5G参入を巡っては、〝スパイ同盟〟「ファイブアイズ」をつくる米国やオーストラリア、ニュージーランドに加え、日本もファーウェイ全面排除の方針を打ち出した。

 それに追従するとみられていた英国は態度を軟化させ、電子スパイを担当する英政府通信本部(GCHQ)のフレミング長官が「中国の技術がもたらすチャンスと脅威を理解すべきだ。国によって自動的に全面排除すべきではない」と発言した。

 英シンクタンク、王立防衛安全保障研究所(RUSI)のサイバー専門家ロバート・プリチャード氏は「ネットワーク上のリスクをすべて検出するのは不可能だ。しばらく様子を見なければならないが、全面排除よりもリスクを管理するのが英国にとっては適切だ。中国製品を完全に排除することはできないからだ」と解説する。

 別のシンクタンク、ヘンリー・ジャクソン・ソサイアティのアジア研究所、ジョン・ヘミングス所長は表情を曇らせる。「EU離脱は英外交に深刻な影響を与えている。対中政策に関して英国は米国、オーストラリア、日本に比べ5年は遅れている。多くの国が中国の5G参入を排除し始めているにもかかわらず、英サイバー当局は『状況は非常に込み入っている』と言葉を濁している。英国がファイブアイズから外される恐れさえある」

 英国は「欧州の病人」と呼ばれた1970年代に逆戻りするリスクがある。記事をお読みいただいている頃にはEU離脱交渉はまとまっている可能性があるものの、EUとの強い絆を失う英国が崖っぷちに立たされている状況は何一つ変わらない。

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◆Wedge2019年4月号より

 

 

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 
 

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