米在住の男らの犯行
スペインの司法当局は、アドリアン・ホン・チャンという35歳のメキシコ国籍で米国在住の男を主犯格と断定した。警察官に応対したのはこの人物で、このほか韓国生まれで米国に帰化した男らも犯行に加わっていたといい、スペインの捜査当局は2人の逮捕状を取って国際手配している。
チャン容疑者は事件の2週間前、架空の企業の経営者になりすまして大使館を訪問、「北朝鮮への投資計画」について、今回被害にあった代理大使と話し合った事実も判明している。当局は襲撃の下見が目的だったとみている。
追放された前大使の情報収集?
首脳会談直前という微妙な時期になぜ、北朝鮮大使館が襲撃されたのか。
2016年に駐英公使が韓国へ亡命した事件を機に、北朝鮮が欧州での情報収集拠点をロンドンからマドリードに移したといわれていることもあって、新しい情報拠点を破壊しようとした可能性を指摘する向きもある。
北朝鮮の駐スペイン大使ポストが現在空席になっていることに関連した憶測もなされている。
スペイン政府は、北朝鮮がミサイル、核実験を繰り返したことを理由に2017年9月、当時の金革哲(キム・ヒョクチョル)大使を追放した。大使は帰国後、北朝鮮の国務委員米国担当特別代表のポストに就き、米朝協議で主要な役割を担っていることから、金氏に関する情報収集が目的だったという見方だ。
金氏に関しては4月7日の各紙が、2月の首脳会談の後、更迭されたと伝えた。米国の出方を見誤った責任を問われたというが、大使館襲撃との関連は明らかではない。