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2019年4月8日

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樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

元産經新聞論説委員長

元産經新聞論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員、産経新聞社監査役を歴任。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

FBIに奪った情報を提供か

 チャン容疑者は事件翌日の2月23日には米国に戻ってFBIと接触、情報の提供を申し出た。米メディアによると、その際膨大な情報がすでにFBIに手渡されているという。

 スペインのメディアは、チャン容疑者は米CIA(中央情報局)とも接触を持っているとして、CIAが今回の襲撃にも関与したと伝えている。

 FBIは声明で「捜査活動が行われているかどうかについて否定も肯定もしないのが原則」と含みをもたせた。国務省は「米政府は今回の襲撃にいかなる関与もしていない。スペイン当局による捜査が続いており、真相解明はそちらにゆだねたい」と全面否定の姿勢だ。

 しかし、米情報機関が当初否定したものの、後になって関与の事実が暴露されたケースは過去にいくつかある。知られているところでは、1965年のインドネシアのクーデター未遂事件(9・30事件)、1973年、チリのアジェンデ社会主義政権を崩壊させたクーデターなどで、国際政治史の語りぐさになっている

 一方、事件直後から沈黙を守っていた北朝鮮は、1カ月以上たった2019年3月31日、外務省報道官が朝鮮中央通信を通じてようやくコメントをだした。「国家主権への重大な侵害であり、国際的に絶対許されない」と強く非難、「FBIと反朝鮮団体が関与しているとの説に大いに注目している。スペイン当局に責任ある捜査と指導者の処罰を望みたい」と述べ、米国、スペイン双方を牽制した。

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