WEDGE REPORT

2019年4月18日

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飛行機は怖い、どうすればいい?

 私は、飛行機に乗ると緊張し、良く寝られないことが多かった。事故に関心があり「マッハの恐怖」など飛行機事故関係の本を読んだのも、緊張する理由だったかもしれない。いまは、緊張することはなくなった。

 その理由は米国出張時、偶然空港の書店で見つけた本にある。タイトルは『フライト恐怖症を克服する』。今までのフライトで、怖い思いをしたことは一度しかないが、その時にこの本が役に立った。

 米国の国内線でピッツバーグからデンバーに移動した時だ。200人乗り程度の機体は満席で、私は最後列3人掛けの通路側に座っていた。隣はお婆さん2人組。デンバー上空到着時、機長からアナウンスがあり、「ちょっと確認が必要なことがあるので、少し上空で旋回します」と告げられた。

 フライト・アテンダントの席は私の斜め後ろにあったので、視界の端で見えていた。日本では考えられないが、アテンダントは席に座ってペーパーバックを読み始めた。旋回が始まって1時間ほど経った時アテンダントの機内電話が鳴り、話始めた。二言、三言しゃべったと思ったら、彼女は読んでいた本を天井に向け放り投げ、電話が終わった瞬間、本を拾うこともなく通路を全速力で駆けコックピットに駆け込んだ。

 直後に、機長からアナウンスがあった「車輪が出ていない可能性があります。旋回中に管制塔から双眼鏡で見たところ車輪は出ているらしいとのことですが、車輪が固定されたランプが点灯しません。緊急着陸になります。今からアテンダントが緊急着陸時に取る姿勢を説明します。着陸1分前からカウントダウンを行います」。

 瞬間、機内では誰もしゃべらなくなり、静寂になった。アテンダントから、前かがみになり足首を掴み頭を股の間にいれる姿勢を取るように、太っていて前かがみが難しい人は椅子の背に手を回し、椅子の背を掴むように説明があった。その後、彼女は最後尾に来、通路を挟み私の反対側に座っていた男性に「私がダメだったら、あなたが非常口を開ける」、続けて前の男性に「2人ともだめだったら、あなたが非常口を開ける」、その後、私のところに来て「あなたは、隣のお婆さん二人を連れて逃げる役」と告げた。

 「フライト恐怖症を克服する」を読んでいた私は心配してなかった。本には「航空機に小さなトラブルは数多いが、それが負傷者が出るような事故に結び付くことは先ずない。従って、機内でトラブルのアナウンスがあっても心配することはない」とあった。この文章を読んで納得しフライト恐怖症が和らいでいたが、直ぐにそういう場面に出くわすとは思っていなかった。

 1分前からカウントダウンが始まり、最後は「10、9・・・・ゼロ」と続き、ゼロの瞬間着地したが、車輪は出ていた。滑走路の端でしばらく待機した後、降機できたが、隣のお婆さん2人は、乗り換えてサンフランシスコに向かう予定を変更し長距離バスで向かうことにしたと言っていた。本の記載の通りトラブルはあるが、重大事故はごく稀、宝くじの1等10億円当選より確率が低いという事実を知っていると、恐怖心は和らぐのではないだろうか。

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