Wedge REPORT

2019年4月23日

»著者プロフィール
閉じる

中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

為替リスクを忘れずに

 米国の中古住宅向け投資は見てきたように、日本国内で超低金利が続く中で、一つの有力な投資手段になるかもしれない。だが、リスクもある。その一つは為替リスクだ。購入した時と比べて円高ドル安になれば為替差損が発生し、その逆の場合は差益が出る。

 為替が大きく円高に振れると、4%の利回りは為替差損に消えてしまう恐れがある。このところ為替相場は比較的安定しているが、トランプ大統領が米連邦制度準備理事会(FRB)の人事にまで介入しようとしており、金利、為替市場がどう変動するか読めない。

 もう一つは、築22年以上経過した中古住宅を4年間で減価償却できる今のやり方について、会計検査院から問題提起がされており、この制度が何時まで続くか不透明な点がある、今年中に買った物件が過去に遡って課税されることはないだろうが、4年間での償却方式が富裕層を過度に優遇しているという批判があることから、来年当たり見直される可能性も残されている。

 現にこの分野に詳しい国税庁OBは「この制度はいつ変更になってもおかしくない。あまり多くの人が利用するようになれば、見直しが早まるだろう」と指摘する。

業者選びは慎重に

 当局による制度変更の可能性があることから仲介業者は「買うなら早い方が良い」と急き立てる動きもあるが、海の向こうの高額不動産だけに購入する際には慎重な決断が求められる。購入者のほとんどは業者を信頼して購入しているが、これだけブームになると投資家をだまして儲けようとする悪徳業者が出てくる恐れがあり、業者が信頼できるものかどうかも十分見極める必要がある。

 最近は経済成長が期待できるタイやフィリピンなど東南アジアの不動産への投資も増えてきている。この地域の不動産価格は安いため、値上がり益を狙って投資する人もいるが、法整備が十分でなく不動産取引の透明性が確保されておらず、いかがわしい取引業者も多いという。特に現地の日本人業者が親切を装って日本人投資家をだますケースが多いようで、接触する業者が信頼できるかどうか十分に確認する必要がある。

 不動産の代金としてお金を払ったものの現地の業者が突然いなくなったり、完成しているはずの物件ができてなかったりする事例も報告されており、取引自体のリスクが大きくて危険な要素がある。東南アジアは、まだ個人が投資する環境が整っているとは言い切れない。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

関連記事

新着記事

»もっと見る