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2019年5月3日

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矢沢彰悟 (やざわ・しょうご)

大学卒業後、スポーツカメラマンやライターとして活動するも、学生時代から携わっていたサッカー指導者としての道を本気で志すため2015年、スペインのバルセロナに。現地の監督養成学校にて監督ライセンスを取得し、現地の少年から大人までの監督、 コーチを歴任する。 スペイン監督最高ライセンスを取得し、現在は国内クラブの育成年代を指導する。

国のスポーツ発展に「プロ指導者」の仕事は不可欠

 日本でも午前中は選手たちが学校に行っているのは変わらないが、その分指導者たちはその時間にチーム会計の手伝いや練習場所の手配、大会への参加申し込みといった事務作業や雑務、もしくは選手募集活動等の仕事をしていることがある。これはスペインではありえない環境で、指導者はグラウンド上でベストの仕事をするためだけにいる存在という扱いだ。いい言い方をすれば、余計な仕事がない分稼ぎはないが、担当するチームと目の前の選手たちのことだけに集中できるということになる。

 そもそも日本とスペインでは国の経済力が違うので、単純に比較することはフェアではないとも思う。だがスペインでは月4万円ほどの金額で、このように「プロ」の仕事している指導者がたくさんいる。では日本ではどうだろうか?日本の指導者は雑務が確かに多いが、本分となるサッカーの仕事量においては差があるように感じる。

 サッカー先進国と言われるスペインだが、日本が経済的に先進国に上り詰めたのと同様、彼らもただ歴史があるだけでサッカー先進国になったわけではない。そこには表には見えないところでの膨大な量の「プロ」としての仕事と努力がある。もちろん、本音は彼らもサッカーだけで生活がしたい。それだけの仕事をしているのに、それができない。スペインの環境はやはり問題だし、解決すべきだと思う。

 指導者の仕事は直接的にクラブや会社に利益を生み出すものではない。だからプロの指導者の仕事に対しての報酬を作ることは、会社経営的に見れば矛盾したことなのかもしれない。だが、それなしにその国のスポーツの発展は難しいだろう。 そのことを日本に帰って再確認した。

  
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