スペイン北東部カタルーニャ自治州の分離独立をめぐる活動で逮捕されたウリオル・ジュンケラス前州副首相ら被告12人の公判が、最高裁で2月12日から始まった。
2017年10月にカタルーニャ政府は、中央政府の反対を押し切り国民投票を実施し、州議会による「一方的独立宣言」を発表。これらを強行した前州閣僚らに対し、「国家反逆罪」などの疑いが問われている。
最高裁に出廷した被告12人のうち、禁錮25年を科された前州副首相は2月14日、「いかなる行為も犯罪ではない」と主張。スペイン中央政府が妨げた投票に異議を唱え、「私の民主主義理念は揺るがない」と断言した。
一方、ハビエル・サラゴサ検察官は、「この裁判は、民主主義と憲法の擁護である」と独立派に警告。「カタルーニャ市民の62%は投票に出向いていない」との事実も指摘し、同自治州の国民投票が違憲であることを強調した。
16日には州都バルセロナで大規模デモが開催され、20万人(地元警察発表)が参加。裁判への抗議と被告人全員の釈放を訴えた。参加者は独立の象徴とされる旗「エステラーダ」を振りかざし、「自治権は犯罪ではない」と書かれた横断幕を掲げた。自決権停止措置を下した中央政府に対し「政治腐敗」や「独裁」と叫んだ。
独立の国民投票を違憲とし、両政府の対話を拒み続けたマリアノ・ラホイ前首相は、27日の公判に出廷し「国家反逆罪」について語った。
「スペインは、スペイン国民が望む国で、一部のスペイン人が望むものではない」
スペインは自治州制度で、自決権や独立を訴える歴史が長い。北部バスク自治州では、1959年に結成した武装組織「ETA」による国内テロ活動で800人を超える犠牲者を出した。
カタルーニャの独立が実現に向かえば、各自治州への波及が懸念される。さらに国外では、イタリアの北部州やフランスのコルシカ島などへの影響も危惧されている。
最高裁では現在、反逆罪に関する刑法見直しの意見も出始
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