今回は“熱視線”ラグビーW杯2019の楽しみ方の特別編として、ラグビーから生まれた視覚障害者(弱視)の競技「ブラインドラグビー」をご紹介します。
2019年W杯期間中に国際大会を開催予定
2019年4月1日、日本ブラインドラグビー協会が設立され、発足後、初の練習が埼玉県立特別支援学校塙保己一学園(県立盲学校)で行われた。
ブラインドラグビーとは2015年にイギリスで考案された視覚障害者(弱視)の競技で、手で持って移動するときや空中で音の出るラグビーボールを開発している。
グラウンドの大きさは縦70m、横50m、1チームは7名で構成され7分ハーフで行われる。スクラム(アンコンテスト=押し合いなし)、ラインアウト、トライ後のコンバージョンがあり、タックルの代わりに両手によるタッチを行い6回で攻守が入れ替わる。
トライは5点、コンバージョンキックの成功で2点が追加されるというのが主なルールで、イメージは7人制ラグビーに近いだろう。
ワールドカップ2019日本大会の大会期間中にイングランドとニュージーランドが来日して国際大会が開催されることが決まっている。ただし、現段階では会場や日程等の詳細については調整中なので、ここではお伝えすることができない。
視覚障害者が苦手な3つのこと
ブラインドラグビーが日本に紹介された経緯は、2018年に現日本ブラインドラグビー協会の事務局長であり塙保己一学園の松居綾子が、イギリスのThe Change Foundationからメールを受け取ったことに始まる。(日本ブラインドラグビー協会のHPによれば、The Change Foundationとは、ブラインドラグビーを作り、国際的な普及を目指しているチャリティー団体と記されている)
その後、同年9月にThe Change Foundation CEO ・Andy Sellins が来日。
2019年1月には選手、コーチ、ボランティアが集まり日本初のブラインドラグビー講習会が行われ、同月神戸でも体験会を開催。国内でもブラインドラグビー協会設立に向けた動きが加速し、4月の発足に繋がっていった。
会長に就任した橋本利之はブラインドラグビーについてこう語る。
「視覚障害者には三つの苦手なことがあるとされています。一つ目はターゲットに向かって投げること。二つ目は動いている物をキャッチすること。三つめは物を持って走ることです。ブラインドラグビーにはこれらの要素がすべて含まれていますので、視覚障害者には無理だと思われている壁を打破するための競技だと思っています」
練習前、自己紹介の中でそれぞれが自身の視力や視野の状態を伝えるシーンがあった。それはお互いに得意な点や不得意な点を理解するための重要な情報交換になっている。
「ある人は上のボールは見えやすく右からのボールは見えづらいとか、下の方はまったく見えないとか、ひとくちに視覚障害といっても人によって見え方は千差万別ですから、仲間の障害を理解した上で自分のプレーを意識しなければなりません。良いチームを作るためには競技の理解の前にお互いの障害を理解することが大切です」