2022年6月30日(木)

WEDGE REPORT

2019年4月23日

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大統領と首相の対立が大きな要因

 それにしても、こうした情報があるにもかかわらず、事件を未然に食い止めることができなかったのは治安当局の大失態であることは間違いなく、その対応はあまりにお粗末だ。その背景にはシリセナ大統領とウィクラマシンハ首相という指導者2人の政治的な対立がある。

 シリセナ大統領は左派連合「統一人民自由連合」を率い、議会に95議席の勢力を擁しているのに対し、ウィクラマシンハ首相は自由主義経済の穏健路線を掲げる「統一国民党」の党首。議会に106議席を持つ。両者は強いライバル関係にあり、18年10月、大統領が首相を解任、前大統領を首相に指名した。

 大統領はさらに議会の解散と総選挙の実施を発表したが、最高裁が議会の解散を違憲と判断、同年12月、ウィクラマシンハ首相が再び返り咲いた。今回のテロ事件をめぐる失態も両者の不和が大きく関係している。例えば、4月11日のテロ警戒通達は首相に伝えられておらず、首相は事実上、治安関係会議から締め出されていた。大統領は治安を統括する国防相も兼任している。

 首相は自分が情報を知らされていれば、適切な対策を取ってテロも未然に食い止めることができたと主張し、大統領を批判している。大統領は23日、こうした批判には一切答えず、全土に非常事態宣言を発令。最高裁判事らによるテロ事件調査委員会を発足させた。しかし、邦人女性1人を含む死者は310人にまで増えており、遅きに失した感がある。

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